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韓国、「発展途上国型感染症」蔓延で社会問題化…杜撰な衛生管理体制が露呈

文=高月靖/ジャーナリスト
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 このときと同じような政府の拙速な対応も、今また「発展途上国型」と揶揄されている。韓国の保健当局は今年9月初め、韓国南西部のS郡で「200人規模のC型肝炎の集団感染が発生した」とのプレスリリースをメディアに配布。だがニュースになってから「事実無根だった」と慌てて訂正した。誤りの原因は、統計データを読み違えて集団感染と勘違いしたこと。おかげで名指しされたS郡の住民は、風評被害に怒り心頭だ。そのほか8月下旬に報じられたC型肝炎の集団感染も、事実の確認から公表まで2カ月かかったことなどがまた槍玉に挙げられている。

OECDワースト1位の汚名は返上できるか

 
 冒頭で触れた結核も、急激な経済発展の陰で対策が後回しになった典型的な例だ。韓国の保健当局が発表した15年の新規患者数は10万人あたり63.2人で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中ワースト1。そのほか学校、病院、軍隊などの機関での集団感染件数(15年)が、2年前の約2倍に増えたとの報告もある。

 結核は栄養不良が発症の大きな要因とされ、経済発展とともに減るのが通例。だが韓国では医療現場や政府の対応の遅れ、また入院患者の家族が病院に泊まり込んで世話をするような社会習慣などが感染を助長している。さらに近年は栄養失調の代わりに、ストレス、ダイエット、過労、運動不足などによる免疫力低下も感染の要因だという。

 韓国政府はこの10年ほど、外貨獲得のために美容外科を中心とした「医療観光」を海外にアピールしてきた。だがそのいっぽうでC型肝炎の患者団体は、一連の事態を「発展途上国的な医療事故」「国際的な恥さらし」として政府を批判している。社会のあちこちに根を張る感染症の問題を解決する特効薬は、簡単には見つからなさそうだ。
(文=高月靖/ジャーナリスト)

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