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江川紹子の「事件ウオッチ」第65回

【沖縄「土人」発言】で露呈した大阪府警の問題体質 威嚇、罵倒、侮蔑はなぜ繰り返されるのか

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 今回の沖縄での暴言問題では、松井一郎大阪府知事は、むしろ問題の警察官を擁護する役割を果たした。自身のツイッターで<ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。>と投稿。さらに記者会見で「(沖縄の工事現場で)混乱を引き起こしているのは誰か」「仕事をしている警察官を、鬼畜生のように叩くのは違う」などと、反対派の人たちやマスメディアを批判した。

 警察を所管する立場にある知事がこれでは、大阪府警の風土はなかなか変わらないのではないか。

 大阪の弁護士らに話を聞くと、大阪府警では、つい最近まで、逮捕された暴力団関係者に対しては、殴る蹴るの暴行が当たり前のように行われていた。それが、取り調べの録音録画の議論が本格化し、可視化が現実的になった頃から、ぴたりと止まったという。

 実際に取り調べが可視化されれば、暴力はもちろん、暴言や相手の人格を誹謗するような言動は慎むようになるだろう。先般の刑事訴訟法改正によって、警察が録音録画を義務づけられるのは裁判員裁判対象事件だけだが、大阪府警が本気で“暴言体質”を一掃したいと考えるのであれば、全警察官にICレコーダーを持たせ、被疑者の取り調べはもちろん、参考人の事情聴取、あるいは初動の聞き込みなど、捜査のすべての過程を記録するようにしたらどうか。自分の言動が記録されることを意識していれば、暴言は格段に減るはずだ。そして、そういう風土がなくなれば、今回のような問題も起きなくなるのではないか。

 今回、2警察官を処分した大阪府警監察官室は、「誠に遺憾。今後このようなことがないよう指導を徹底する」との談話を発表している。指導だけではなく、暴言を生まない仕組みをつくることが必要だ。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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