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放射能汚染物、小中学校等に保管・埋め立て…環境省と横浜市、事実把握し5年間放置

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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なぜ、教育施設内に高濃度放射性廃棄物(=汚泥)が保管

 数年間放置されてきた放射性廃棄物。これまでは「持って行く場所がない」という国や横浜市による説明が行われてきたが、その点を検証する前に、小中学校の施設内になぜ、高濃度の放射性廃棄物が発生し、保管・放置されていたのかについて説明する。

 横浜市では、370万人を擁する政令指定都市として、小中学校は「雨水利用施設」を設けていた。校舎屋上に降った雨水を集水し、その水をトイレの洗浄水として利用する施設である。雨水をためておく貯水槽の底にたまっていた汚泥が、いずれも高濃度の放射能汚染を示したのである。学校の屋上は、2011年の東京電力福島原発事故当時、原発から放出された放射性物質が東日本各地に風で運ばれ、遠く神奈川、東京、埼玉まで運ばれ、大地を汚染した。屋上に降り落ちた雨水や砂塵に混じった汚染物が、貯留槽の底に汚泥としてたまり、その汚泥が高濃度に放射能汚染されていたのである。

放射能汚染物、小中学校等に保管・埋め立て…環境省と横浜市、事実把握し5年間放置の画像5東日本各地の汚染マップ、早川由紀夫群馬大学教授作成

 汚泥は廃棄物としてときどき抜き取り処理されるが、原発事故後、民間の廃棄物処理業者が汚泥の放射能濃度測定を要望したという。通常の汚染されていない汚泥は、堆肥の原材料などにも使われることがあり、汚染度が高ければ使えないため引き取りを拒否されたのである。

 そこで横浜市が測定したところ、現行の基準100ベクレルの数十倍、数千ベクレルを超える学校が43校もあり、その内17校は、放射性物質汚染対処特措法(註1、以下:特措法)による暫定基準値8000ベクレルを超え、国(環境省)が処理責任を負うことになった。ところが、環境省は、その指定廃棄物を「処理体制が整うまでの間は、施設管理者に保管をお願いせざるを得ない」と伝え、横浜市では各学校施設内のポンプ室や倉庫などに、放射性廃棄物の保管を続けることになった。今年5月にも、環境省は「処分の見通しが立っていない」と説明し、保管の継続を横浜市に頼んでいた。

 これが、横浜市の学校施設内に指定廃棄物等の放射性廃棄物(=汚泥)が、発生時から5年間も保管・放置されている経過概要である。

行政による失政

 同特措法では、暫定基準の8000ベクレル以上の廃棄物は環境省が処分し、それ以下のものは当該市町村が埋め立て処分場などの一般公衆が接触することのない場所に保管することになっていたが、環境省が学校内での保管を見過ごしてきたことをよいことに、横浜市も学校内に保管・放置してきたといえる。

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