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日産、粛々と進む三菱自「完全支配」計画…ゴーン、仰天人事で「大いなる野望」完遂へ

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 加えてゴーン氏は、「益子さんが残ることは(三菱自日産の)アライアンスを実現するため重要な条件でもあった」とまで述べた。

 一方の益子氏自身は、引責辞任を翻した理由についてこう述べた。

「ゴーンさんから会社に残り経営を担ってほしいとの強い要請を再三受けた。しかし、気持ちの整理がつかず経営に残ることについて前向きに考えられなかった。ただ、新体制をスムーズに軌道にのせることで来年度から始まる次期中期経営計画の道筋をつけることも経営責任と考え、経営に残ることを決断した。経営責任の取り方に対する批判はあると思うが、三菱自の経営再建に向けて、もう一度気持ちを奮い立たせて取り組むことにした」

信頼されない三菱自役員

 三菱自の新経営体制には、日産が会長を派遣することが決まっていたが、このポストにゴーン氏が就任することは予想されていた。ゴーン氏は現在、日産に加えて、ルノーのトップも兼任しており、グループトップの座に居座り続けるゴーン氏が、三菱自の「会長」というトップの座を他人に譲るとは考えにくいからだ。では、益子氏の続投にこだわった理由は何か。

 それは、三菱自にゴーン氏の信頼を満たす役員が益子氏以外見当たらないことだ。三菱自は、燃費不正事件が発覚したが、その前まで業績は好調に推移し、長年の経営課題だった三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の三菱グループが保有していた優先株問題の処理も完了、復配を実現した。

 こうした三菱自の業績を回復させてきた益子氏の経営手腕を、ゴーン氏は高く評価。三菱自の経営陣はリコール事件後、三菱グループの支援を受けて経営立て直しを図ってきただけに、経営陣も三菱グループ出身者が多くを占める寄せ集め集団で運営されてきた。

 さらに、燃費不正事件で役員が相次いで退任していた。

「ゴーン氏が信頼できる三菱自の役員は、益子氏以外ひとりもいない」(自動車担当記者)

 かといって、ゴーン氏は「(日産との資本提携で)三菱自の独自性がなくなるわけでない」と公言しているなか、社長に日産から人材を派遣した場合、三菱自の社員が「日産グループによる乗っ取り」と感じて士気の低下や人材流出も懸念される。ゴーン氏は「益子さんに残ってほしいのは、三菱自は三菱自のままであり、日産の部門になるわけではないことを理解してほしかった」としている。益子氏に続投を要請するのはいわば必然だった。

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