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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

肥満者は「重要な仕事」に就いてはいけない?命を奪う睡眠時無呼吸症候群の危険な兆候?

文=新見正則/医学博士、医師
肥満者は「重要な仕事」に就いてはいけない?命を奪う睡眠時無呼吸症候群の危険な兆候?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、睡眠時無呼吸症候群のお話です。

 睡眠時無呼吸症候群のキーワードは、いびきと肥満です。太っている人が夜中にいびきをかいている状況では、呼吸が止まっているケースがあります。中枢性の睡眠時無呼吸症候群で、脳の呼吸を司るシグナルが不調になっています。しかし、これは希で、多くは閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。

 閉塞とは「詰まる」という意味で、息が通る道、気道が狭くなります。のど、はな、口、気管などです。肥満で気道が閉塞することが多く、昼間はなんとか息をしていますが、眠ってしまうと、気道を維持する筋肉が弛緩するので閉塞してしまうのです。そこで息ができなくなります。それでは苦しいので、呼吸停止の後に一気に息を吸い込みます。それがいびきとなって現れるのです。10秒以上の呼吸停止が1時間に5回で睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

 つまり約10分間に1回息が止まって、その後いびきが続くと睡眠時無呼吸症候群です。重症例では1時間に30回以上の呼吸停止があります。 そして慢性的な寝不足となり、昼間でも集中力が低下し、そしてちょっとの時間でも居眠りをするようになります。赤信号で車が停止中に寝てしまうとか、重要な会議の合間に寝てしまうとかです。命を預かる仕事では特に要注意な病気です。

精密検査の重要性

 非常識君がこう発言します。

「肥満者が睡眠時無呼吸になるのだから、基本的に肥満者は命を預かるような仕事に従事させないことが大切だ。肥満は痩せることができるのだから、大切な仕事に従事したいのなら、痩せてから就業すればいい」

 すると極論君が反論します。

「肥満者でも睡眠時無呼吸症候群ではない人がいるのだから、肥満者という括りでまとめて『命を預かる仕事は不可』とするのは、フェアではない」

 そして極論君が追加します。

「肥満者以外でも、現代人に多い特にあごが小さい人は、気道閉塞になりやすく、睡眠時無呼吸症候群を患うことがある」

 非常識君は、「外見だけでは睡眠時無呼吸症候群かを正しくチェックすることはできないので、人の命を預かる仕事の人には、全員に睡眠時無呼吸症候群の検査を義務づけるべきだ」という意見です。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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