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特別企画・『賢者の選択 Leaders』アーカイブス vol.1

元LINE社長・森川亮が挑む新メディア「C Channel」の革新性はどこに? 異端の経営哲学「ビジョンは不要」とは?

『賢者の選択 Leaders』2015月10月5日放送より/構成=編集部
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松田 なるほど、そういうことですね。

森川 はい。それを本当にビジョンだって言って、紙に書いて、毎朝朝礼で読んだりするのはもちろんそれはそれでやり方だと思うんですけど、新しいものを生み出す環境にはちょっと向いてないのかなとは思いますね。

松田 なるほど。実は私はタリーズをつくったときにまず真っ先にしたことが、その目的といいますかビジョンを紙に書き記して、それをバンと貼って。

(一同笑)

森川 すいません(笑)。

松田 それで仲間と共に、それを毎朝見てということをやっていたんです。それはもう古いということですかね。

白石 どうですか?

森川 僕なりに考えると、本質的には、紙に書かなくても、(胸を指しながら)ここに書いてある人を集めて一緒に仕事をしたいなと思うんですよね。

松田 なるほどですね。

森川 忘れるやつがいるじゃないですか。そういうやつに「紙を読んで覚えろ」っていうのもちょっと違うかなと。いや、忘れるぐらいっていうのは本気じゃないってことですよね。できれば本気の人だけ、忘れられないような人と一緒に仕事したいなとは思ってますね。僕自身、ビジネスは最後は人の心を動かすことだと思うんですよね。人の心を動かすのは、やっぱり人じゃないですか。そうすると、人の気持ちが分かるとか、その気持ちに対して一生懸命努力するような、そういう人材がいなければ、本当に人の気持ちを動かすって難しいんじゃないかなと思うんですよね。だからなるべくそういう人と集まって、少人数でもいいからいいものをつくりたいなと思いますね。

白石 そして2015年にC Channelを設立してますけども、どういった思いで立ち上げたんですか?

森川 松田さんも日本を元気にしたいっていう気持ちがあって政治という道を選びましたけど、僕の場合は経済というところから日本を元気にしたい。いろいろ考える中で、最初はエネルギーとか、ヘルスケアとか、教育とか、いろいろ考えたんですが、僕自身経験がなったので、僕の経験っていうと一番大きいのがメディアの経験が長いので、メディアを通じて日本を元気できるような、そういうプロジェクトをやろうということでテレビ局時代の同期と一緒にこの会社をつくりました。

白石 どのような具体的な取り組みを行っているんですか?

森川 C Channelは先ほどお話ししたように、女性向けの動画のファッション雑誌というコンセプトで、ファッション、ヘアメイク、グルメ、旅行などの動画をクリッパーと呼ばれる出演者の人がスマートフォンで撮影して、自分で編集して、それを投稿するという仕組みになってますね。なので、皆さん好きなところに行って、撮って、自分でそこで編集をしてアップするということで、24時間世界中からさまざまなニュースが届いてます。今、ニューヨーク、ソウル、台北、シンガポール、バンコク、ドバイ、そして東京、札幌、福岡、大阪からいろんなクリッパーさんが100名ぐらい、ある意味女性だけのニュース通信社がここ3カ月ぐらいでできたんですよね。ワーッと集まりながら、この次のステップとしては、それの英語版、中国版が出るということ。あと一般にも開放するので、いろんな個人の通信社というか、ジャーナリストになりたい人もバンバンバンバン配信してくるということで、それを僕たちが編成していくっていう形ですね。

インターネット広告の世界を変える

白石 女性とおっしゃいましたけれど、大体何歳ぐらいの方をターゲットにしていらっしゃるんですか?

森川 10代から30代の女性をターゲットにしてまして、その若い女性たちが興味を持つようなものを日々アップしていただいてるっていうことですね。

白石 どうしてその層にターゲットを当てたんですか?

森川 僕自身がインターネットのビジネスをもう何十年もやってまして、ひと昔前、PCの時代というのはギークの人が使い始めると、かっこいいと思ってみんな使い始めたんですよ。ただモバイルの時代になって何が起こったかっていうと、若い女性が最初に使い始めたものが普及するように変わったんですよね。LINE自体もやっぱり最初は若い女性をターゲットにいろんな国でプロモーション、マーケティングをやってきまして、なので今回のC Channelもまずは若い女性向けにターゲットをしぼって、そこで価値をつくる。

 そのことによって、若い女性ほど固定概念がなく、すぐにいいものはいいと言ってくれるんですよね。やっぱりこう、サラリーマンとか、大人の男性っていうのは、ちょっとこう、一般的な概念があって、何か違うみたいな。なかなか固い。LINEもそうだったんですけど、なかなか時間がかかっちゃうんですよね。なので、いいものはいいって言ってくれる層からまず普及させるっていうことですね。

白石 確かに女性は流行に敏感ですね。口コミも広がりが速いですからね。勢いがありますよね。

森川 そうなんですよね。

松田 反論するわけではないんですけど、私が最近のネットを見てますと、心配になるのが、例えばニュースでも、1行とか2行で(見出しが)表示されてしまう。それを見て分かった気持ちになっている若い人たちが非常に増えてるなって思うんですね。それが果たして、今後の日本にとって、もしくは世界にとっていいのかどうかっていうところが、私は非常に考えてしまうんですね。最近。どちらかと言うと、幅は広いんだけれども薄いのかなという気がするんですよ。そこはいかがですか?

森川 そうですね。やっぱりどうしてもニュース中心になってしまうと、どんどん刺激物を提供して、だんだん麻痺しちゃう中で、どんどん消費されるような状況が今だと思うんですよね。僕たちはそういうものではなくて、メッセージをちゃんと伝えられるメディアにしようと思ってまして、例えば今やっているのが、手づくりで物をつくっている人が、なぜつくっているのかとか、じゃあ、どうやってつくるかっていうのを伝えて、ゆくゆくはそれをその場で販売をするような、そういう仕組みをつくったりとか、音楽に関しても、ただ音楽を流すのではなくて、それをつくった背景を語るとか、例えば作家さんが自分の本の背景を語るとか。

松田 いいですね。

森川 そういう、率直に語りかけるメディアみたいなものを目指しています。

松田 それ、素晴らしいですね。例えば工芸であったり、ファッションでもいいかもしれませんけれども、こういう新しいものができましたと。実はこの裏にはこういう思いを持ってつくっている人たちがいるんですよっていうのが、それを、短い間かもしれませんけれども、ただ単に今インターネットのコマースサイトでぽんと出てくるよりも、それも見えたら、確かに伝わりますよね。

森川 そうなんですよね。

松田 それの日本発ができたら素晴らしいですね。

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