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安倍政権、突然にロシアへの危険な金融支援を各銀行に要請…米国から巨額制裁金の恐れ、各行は困惑

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自民党 HP」より

 10月下旬、地域銀行のトップと金融庁幹部との会合で、次のような脈絡のない要請が金融庁幹部から発せられた。

「政府全体として、12月の露プーチン大統領の訪日に向けて、ロシア案件についてこれまで以上に力を入れていることは理解いただけると思う。地域において、取引先企業がロシアに進出している、あるいは進出を考えているところもあると思う。政府としても、必要に応じて皆さんと情報共有していきたい」

 この日のメインテーマは、金融庁が打ち出した地域金融機関を対象にした「金融仲介機能のベンチマーク」や「経営陣との対話の促進」など、今後の金融行政の方針についての意見交換だった。そのなかで唐突にロシアへの金融支援が飛び出したことに違和感を覚えた地域銀行幹部は少なくなった。

 参加者からは、「海外業務を積極的に手掛けるメガバンクならわかるが、我々のようなドメスティックな地域銀行に対してもロシア案件への支援を要請してくるとは……。北方領土問題をめぐる日ロ交渉に、並々ならない意欲を示す安倍政権の強いプレッシャーを感じる」との声が漏れた。

 実は、メガバンクをはじめとした大手銀行のトップにも別途、金融庁幹部から直々に対ロ金融支援の要請が行われている。しかし、メガバンク内部から聞こえてくるのは、「対ロ金融支援の環境は整っていないし、リスクも高い」(メガバンク幹部)という慎重な意見ばかりだ。12月15日に安倍晋三首相の地元・山口県で開催されるロシアのプーチン大統領との会談に合わせ、民間銀行による対ロ金融支援の具体策を打ち出したい政権との温度差は否めない。

 ロシアのクリミア併合後の国際的な経済制裁を受け、邦銀による対ロ融資残高はピーク時からほぼ半減している。邦銀によるロシアへの円建融資は制裁対象とはなっていないが、新規融資は事実上ストップしている状態だ。安倍政権の要請は、その再開を意味する。

 しかし、安倍政権のたっての要請とはいえ、民間銀行側もおいそれとは乗れない事情がある。米国の出方が見えないからだ。「ロシアへの経済制裁をリードしてきた米国の虎の尾を踏みたくない」(メガバンク幹部)というわけだ。

 米国は自国の安全保障を脅かす国との金融取引を厳しく監視・制限している。たとえば、制裁対象となっているイランとの決済取引を行ったとして三菱東京UFJ銀行が提訴され、計600億円を超す制裁・和解金を支払わされたのは記憶に新しい。安易にロシアへの金融支援に踏み出せば、同行の二の舞となりかねないと危惧されている。特に3メガバンクはニューヨーク証券取引所に上場しており、「米国撤退といった憂き目はご免被る」(メガバンク幹部)というのが本音だ。