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魚5千匹氷漬けリンク、実は批判派は少数派なのに中止する必要はあったのか?背後に巨大権力

文=編集部

–どの程度のリスクが見込まれると企画を中止するべきでしょうか。

高井 このタイミングは難しいのですが、「世論の風向き」がどこにあるか、だと思います。
「悪事千里を走る」の諺にたとえれば、「不満や不快はネットで万里を走る」時代です。しかも、一時的により加速します。

 今回のケースは、すでに死んで食用にならない魚を使ったとはいえ、氷漬けにした魚の上を人間が滑走するというのが、「残酷」「命を粗末にしている」となった段階で――上記でいえば「不快感」や「上から目線(死んだ魚の上を人間が滑走する)」に当たることになります。

 これは、抗議の数よりも、今後の展開がどうなるかという想像力も必要になると思います。「このまま放置すればイメージダウンにつながる」と判断すれば、企画を中止するべきでしょう。その意味でスペースワールドの判断は正しかったと思います。

 少し話がそれますが、2009年に危機管理の専門家に「花王がエコナ問題で対応を誤った」時に取材した際、同年時点で「『世論』という新たな権力ができた」との見解を示していました。

–批判を覚悟で実行し続ける場合のリスクとメリット

高井 「かえって宣伝効果が高まった」と本当に腹をくくれる場合は、実行し続けていいかもしれません。ただ、数年間は「色がつく」のは避けられないため、それでも構わないという強い信念が必要です。

 一般消費者を相手にする企業であれば、ある意味、「臆病」なぐらいの対応でいい時もあります。その場合は、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)、ユニリーバ、ライオンなども含めて、トイレタリーや化粧品メーカー、食品メーカーの対応が(失敗も含めて)参考になります。

 その理由は、これらの企業は主に主婦層を相手にしているので「不買運動」「企業イメージダウン」につながらないために、早期の火消しをしようとするからです。

 今年の例でいえば、次の事例が早期の火消しといえます。

・日清食品が「カップヌードル」のテレビCMで、不倫問題で離婚したタレントの矢口真里さんを起用して「二兎を追う者は一兎をも得ず」というセリフを言わせたことで、批判を受けたため、放送を中止

・花王が、息子で俳優の高畑裕太逮捕に伴い、女優の高畑淳子さんが登場する洗剤のCMを中止

 窮屈な世の中だと思いますが、少し前の感覚が通用しない時代なのです。

–ありがとうございました。

 確かに、「少数派の意見だから」とタカをくくれば、「不遜な姿勢の企業」などとレッテルを貼られて、さらに批判が高まりかねない。消費者のイメージが重要な企業にとって、臆病なくらいに丁寧な対応と迅速な火消しが重要といえる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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