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NHK次期会長選びで異例事態相次ぐ…内外の強烈な「籾井アレルギー」、再任反対運動先鋭化

文=編集部
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古川氏と日立製作所の軋轢

 一方、古川氏も日立社長辞任の際に汚点が残った。

 1999年3月期の日立の連結最終損益は3387億円の赤字となった。戦後の荒廃から立ち上がり、高度成長期に「重電の雄」の名声を欲しいままにしてきた日立が赤字に転落したのである。これは、日本型経営の転機を象徴していた。

 日立といえば、昔から発電所の建設などで高いシェアを維持してきた会社だ。「電電(日本電信電話公社)ファミリー」として日本の通信インフラを支えてきた誇りもある。日立は日本型経営の優等生といわれてきた。一つひとつの分野では必ずしもトップではないが、総合電機として、断トツの力を発揮してきた。

 時計の針を戻してみる。98年12月24日、日立は99年4月1日付で、社長の金井務氏が会長になり、副社長の庄山悦彦氏が社長に昇格する人事を発表した。

 7代目社長に就いた庄山氏は、「東京大学工学部卒、重電畑出身、日立工場長経験者」という、社長になるための3つの条件を満たしていなかった。同氏は、東京工業大学理工学部電気工学科卒、家電畑出身、栃木工場長経験者である。電機業界にデジタル化の波が押し寄せるなか、古い慣習が否定されたといえる。

 庄山氏は多角化路線をとった。自動車からエスカレーターまで電子デバイスを生かしたモノづくりに賭けた庄山氏は、次々と新しい事業を買収して、傘下に取り込んでいった。グローバル展開をうたい、その目玉として米IBMからHDD(ハードディスクドライブ)事業を2400億円で買収した。HDDはパソコンやサーバーに用いる記憶装置のことだ。しかし、HDD事業は巨額赤字の元凶となり、一度も浮上することなく手放すこととなる。

 庄山氏は第8代社長に古川一夫氏を起用した。東京大学大学院修士課程(電気)修了で、情報・通信部門の出身だった。庄山・古川コンビは拡大路線をひた走った。売上高は悲願としてきた10兆円を超えたが、新しい事業は、まったく利益に結びつかず、躍進が期待されたデジタル家電で大きく躓いた。

「技術は超一流」と評価を得ていたにもかかわらず、薄型テレビで完全に出遅れた。半導体も市況悪化で窮地に陥った。庄山氏は「院政を敷くために古川氏を社長にした」と酷評された。

 当然、業績は悪化した。一時期、米国系買収ファンドが日立の買収を検討するほど、危機的状況に瀕した。迷走経営の結果が09年3月期の7873億円の最終赤字となった。この当時、最大規模、最悪の赤字となった。

BusinessJournal編集部

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