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電通、何度も何人も社員が過労死しても変わらず…経営陣&社員の怖すぎる「鈍感力」

構成=吉田典史/ジャーナリスト
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 会社の外から力を加えなければ、会社自身で変わることはできません。会社の消灯時間や、連続11時間の「勤務間インターバル制度」の設定などを法律で定め、厳しい罰則を設けること。そして、これらの法律を守らず、社員に法定外の残業をさせている会社名を厚生労働省は公にするべきです。

 これらをすべて実施しても、過労死・過労自殺を完全に防ぐことはできないかもしれませんが、はじめの1歩の対策として必要なのです。

 電通は、今回の事件の詳細を公にするべきです。そして、過労死・過労自殺を繰り返さない社会をつくるための先頭に立つべきです。それがせめてもの償いであり、社会的な責任の遂行といえます。「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)」を実現するべきです。

 さらに、遺族に対しては、なぜこのような問題が起きたのかという丁寧な説明をしたうえでお詫びをするべきです。金銭的な償いも当然、しないといけません。遺族の願いを可能な限り実現することが、許しを請う前提となります。

–ありがとうございました。

 次に、労働事件を多数扱ってきた弁護士に、電通に関して話を聞いた。

「電通は、社内での調査は終えているはずです。特に、高橋さんの所属部署の上司やその上の管理職などには、人事部などが複数回にわたりヒアリングをした可能性が高いです。それらすべてを公にすることはできないし、今後もしないでしょう。

 社長や労務担当役員などは遺族が今後、裁判に訴えることを警戒し、穏便に解決をしたいと顧問弁護士に依頼している可能性が高いです。すでにそれが遺族側の弁護士に伝えられている可能性もあります。遺族は、それをどう受け止めるか、その判断を迫られているともいえます。

 電通としては、裁判に訴えられると、世論を一段と敵に回すことになりかねません。メディアも盛んに報じるでしょう。それを防ぐためには、通常の相場よりも高いお金を払ってでも、遺族の怒りを抑え込もうとすることも考えられます。

 仮に裁判になった場合、電通の弁護団は、高橋さんの過去にさかのぼり、10代の頃の精神疾患の有無や成育歴を調べるなど、電通側に有利になる材料を集めて裁判のプロセスで提示してくることもあるでしょう。会社側のこれらの主張の多くは、法廷闘争において説得力のあるものではありませんが、遺族にとっても裁判はつらい戦いになるかもしれません」

 裁判になれば、過労死によって家族を失った悲しみだけでなく、遺族は長くつらい戦いが新たに始まることになる。悲劇を減らすためにも、国には実効性のある規制強化をしてもらいたい。
(構成=吉田典史/ジャーナリスト)

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