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「そもそも、百貨店の売り上げは91年がピークで、バブル崩壊とともに縮小が始まっていました。高齢化に伴い生産年齢人口も減少しており、今後はますます消費が減少していきます。そのため、百貨店の生き残りはさらにシビアになるでしょう。
ニトリやユニクロを出店させて巻き返しを狙っても、それは一時的なものでしかありません。根本的に、百貨店が魅力ある店づくりを徹底しない限り、売り上げが回復することはないでしょう。しかし、長年MD力の低下を放置してきた百貨店にそれを期待するのは、もはや難しいのが現実です」(同)
そうした厳しい現状を踏まえて、渡辺氏は「今後の百貨店は、旗艦店のみが生き残るだろう」と予想する。しかし、そうした旗艦店もサバイバルの末に淘汰されてしまう可能性も否定できない。今や、百貨店は日本国内だけが競争相手ではない。格安航空会社(LCC)の普及もあり、海外で買い物をすることも特別ではなくなりつつある。
ちょっとした日用品などはコンビニエンスストアで済ませ、特別なものは海外で買う。そんなライフスタイルに変わっていくこともあり得るのだ。仮に、より気軽に海外でのショッピングが楽しめるようになると、何も東京や大阪に店舗を構える必要はなくなる。アジアであれば香港や台湾、シンガポールが百貨店のライバルになっていくだろう。
実は、爆買いで日本経済を活気づけた中国人は、決していなくなったわけではない。訪日せずにネットで日本製品を購入するようになったのだ。そうした消費行動は「越境EC」と呼ばれるが、要するに、国の枠を超えたネット通販が百貨店を潤わせた爆買い中国人を奪ったというだけなのである。
日本人から見向きもされなくなり、爆買い中国人もつなぎとめられなかった百貨店に、生き残るすべはあるのだろうか。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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