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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

「デブのメリット」を失う悲劇…痩せた途端に、仕事や人間関係が悪化し始める人々の謎

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「Thinkstock」より

 健康のために肥満は良くないというのは、恐らく不変の事実です。著者も含めて、そうとはわかっていても太り過ぎで悩む人は多いでしょう。一方で、ダイエット法について万人に対する絶対的な正解というのが、確立されているわけでもありません。

 そのためか、ダイエット法については何年かのスパンでさまざまな方法が浮かんでは消える、というサイクルが続いています。ここ数年のトレンドは、食事制限とトレーニングによって筋肉をつけることで基礎代謝を上げ、結果的に痩せるという考え方です。さらに、テレビCMの影響からか、うまく痩せられた人が周囲にその苦労やノウハウを語るという傾向があるように思います。著者は医学の専門家ではないので、その方法自体の是非はわかりませんが、今回は中年太りに悩む男性の、ビジネスシーンにおけるダイエットの副作用について述べたいと思います。

自分の見た目が与えてきた印象を自覚しているか


 太っていた人が痩せると健康面で良くなる上に、見た目がカッコいい印象になるということについて、多くの人は異論ないでしょう。見栄えが良くなると自信が芽生えたりすることもあり、相手に好印象を抱かれる可能性も高くなり、ビジネスシーンにおいてマイナスに作用することはほとんどないはずです。

 ただし、若い頃から痩せていた人の場合と、長らく太っていた人が急に痩せた場合とでは、同じような体格をしていても、相手に与える最終的な印象が少し異なってくることがあります。

 業績を向上させたことがほとんどない経営者が、精悍な顔つきや体つき、そして自信を持った話し方をしているために、あまりその点を突っ込まれない例があるように、男性でも外見と印象で得している人もいます。中年太りだった自分が痩せたことによって、「よしよし、自分にもそんなお得な現象が起こるのではないか」と思っていると、期待外れに終わるケースがあります。

 もともと仕事上のパフォーマンスが良くなかったり、人間性がそんなに良くなかったりする場合でも、太っていることで第一印象ではどこか憎めないキャラクターだとして受け止められ、どちらかというと人々にポジティブな印象を残すことがあります。

 年を取ってくると、そのキャラクター設定に慣れているので、やや自虐的な笑いを取るような「鉄板ネタ」を入れつつ、「太った憎めないキャラ」をベースとしたコミュニケーションをうまく取ったりもします。同性から外見による嫉妬はされず、それを自ら話のネタにすることで器量の大きい人間を演出しやすいという利点、中年太りのおじさんには太ったなりの外見で得をするやり方があったのです。

 ところがそうした人がダイエットに成功した場合に、本人としては純粋に嬉しくて悪気もなく成功の秘訣などを話し出すのですが、人によってはそれが「え? この人そんな突っ込みどころのないストレートな自慢をするキャラクターだったっけ?」といったネガティブな印象を相手に与えることがあります。少し攻撃性が増したり、逆に太っている人に愛情が欠けたようなコメントを入れたりするようになり、嫌みな印象を周囲に与えてしまう言動をすることもあります。まさに、脂肪によって、またオブラートによって包まれていた嫌な部分が露呈してしまう状態です。