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年収100万円未満…アニメ制作現場、超絶ブラックで崩壊の危機か…離職率9割、人材使い捨て常態化

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庵野秀明も警鐘を鳴らすアニメ業界の寿命


 そして、この問題を複雑にしているのが、アニメーターという職業に「やりがい」を求めている人が多いことだろう。

 収入や拘束時間など、労働環境に不満を持っているアニメーターは数多くいる。その一方、アニメ業界には「好きなアニメにかかわれるだけでも十分」「絵が描けるだけでもありがたい」という人も多く、業界全体に「好きなことを仕事にできているのだから、待遇は我慢しよう」といった風潮があるのだという。

 ヤマサキ氏も「もともと、アニメーターにはお金の問題をあまり気にしなかったり、一致団結して経営側と交渉したりすることが苦手なタイプが多く、なかなか声を上げる人がいない」と語る。

 いわば「アニメが好き」という一点につけ込まれ、「やりがい搾取」され続けているのが現場のアニメーターたちなのだ。こうした問題点については、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズなどで監督を務める庵野秀明氏も指摘したことがある。

 庵野氏は以前、今のアニメ制作システムはかろうじてもっている状態で崩壊は時間の問題であり、いずれは人材も資金も枯渇する、として「日本アニメの寿命はあと5年」と発言して話題になったことがある。

「そういった危機感は、多くのクリエイターが持っています。アニメーターたちの窮状を救うためにも、アニメ業界は新しいビジネスモデルをつくる必要があるのかもしれませんね」(同)

 古くは手塚治虫の時代につくられ、脈々と受け継がれてきたというアニメ制作現場の過酷な実態。アニメがクールジャパンの旗手となり、一大産業となった今こそ、業界そのものを改革する必要があるのかもしれない。
(文=藤野ゆり/清談社)