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月額通信料299円!格安スマホ市場にFREETELが革命…使った分だけ料金で安心

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 だが現在のところ、スマートコミコミで選べる端末は、あくまで同社が開発したFREETELブランドのスマートフォンのみだ。しかしながら同社によると、17年以降はFREETEL以外のスマートフォンもスマートコミコミで選択できるようにするとのこと。具体的なメーカーや機種などは明らかにされていないが、発表会のプレゼンテーションではファーウェイやASUSなど、同社のライバルメーカーの端末写真が映し出されていたことから、それらメーカーの端末を取り扱うものとみられる。
FREETELブランドの新フラッグシップモデル「KIWAMI 2」。5.7インチディスプレイに10コアCPU、1600万画素のカメラなど高い性能を誇りながら、価格は4万9800円(税抜)と比較的安価だ

 代表取締役の増田薫氏はこの点について、「我々は垂直統合モデルのサービスを提供しているが、一方でハードやSIM、アプリに特定の縛りを入れて提供したことはない」と話している。キャリアのような縛りを入れないことが同社のポリシーであることから、スマートコミコミでもFREETELの端末に限定した縛りを入れないよう、他社の端末も選べるようにしたということのようだ。

不安定なハードビジネス拡大に必要な安定収益


 確かにMVNOのビジネスとして評価するならば、自社以外の端末を販売するのはユーザーメリットにつながり、回線の契約拡大にもつながることから非常に理にかなっている。しかしハードメーカーとして見るならば、他社端末を取り扱うというのは、FREETEL端末の販売機会を奪うことにつながるため、損な選択でもある。

 それゆえプラスワン・マーケティングがライバルのハードを扱ったのは、同社がMVNOとしての通信ビジネスを強化したい狙いがあるからとみることができるだろう。そしてその理由は、通信事業がストック型のビジネスであり、顧客から毎月収入が得られるので安定した売上を確保しやすいからではないかと考えられる。

 スマートフォンのハードウェアビジネスは世界的に競争が激しく、高性能な機能を低価格で提供することが顧客から強く求められる傾向にある。それゆえアップルを除く大多数のメーカーが、利益をほとんど出せていない状況だといわれており、低価格でハードを提供するプラスワン・マーケティングも、その例外ではないだろう。だが増田氏は、以前より「日本メーカーとして世界一を目指す」と話しており、海外進出にも積極的に取り組むなど、ハードウェアでは拡大戦略を続ける方針のようだ。

 利益が出しにくく不安定なハードウェアビジネスでシェア拡大を図るとなると、必要になってくるのが資金力である。プラスワン・マーケティングは16年11月10日、総額42億1500万円の第三者割当増資を実施しており、現在は調達した資金によって事業拡大を進めているものと見られる。だが今後を考えれば自社の収益によってビジネスを回す必要があるだろうし、特にベンチャー企業である同社には、財務基盤を支える安定したビジネスが必要となってくる。

 それゆえ同社では、ライバルのハードウェアを販売してでもスマートコミコミのユーザーを増やし、通信事業を拡大することで、安定した収益基盤をつくることを急いでいるのではないだろうか。それだけに、同社が今後、ハードウェアビジネスで世界的に存在感を高めていくためには、日本で通信事業を順調に拡大できるかどうかが、大きな鍵を握るともいえるかもしれない。

 ただ一方で、発売を予定していた既存モデルの新色が発売中止となったり、一部サービスが延期されたり、Wi‐Fiルーターに新機種に関して、実際には利用できないWiMAX2+契約のSIMカードが利用できるかのような記載があったことが指摘されたりするなど、12月に入ってからトラブルが相次いでおり“粗さ”も見え隠れする。事業を大きくする上では勢いだけでなく、丁寧なサービスを提供することも同時に求められるところだ。
(文=佐野正弘/ITライター)