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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

あの壮大な都市開発計画、壮大に失敗し廃墟化しつつあった!住居もオフィスもガラガラ

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 というのも、周辺には生活必需品や生鮮食料品などが手に入る商店などが皆無で不便だからです。これでは人が住みたいとは思えないでしょう。日本のイオンすら進出してこないのは、やはり人がいないから売上が成り立たないと考えているからだと思います。店がないから不便、でも集客できないから店は出てこないという負のスパイラルです。

 これは公共交通機関も同じく、プテリハーバーからはイミグレーション機能を持ったフェリー乗り場が開設されており、現在はインドネシア航路のみ運行されています。計画当初はシンガポール(セントーサ島)を結ぶ経路計画もありましたが(現在も計画自体はあります)、利用者数が見込めないということで、いまだ就航されていません。さらに西のセカンドリンク(シンガポールと結ぶ橋)もガラガラで、朝晩の渋滞時はコーズウェイを通るよりも迂回してセカンドリンクを使ったほうが早いくらいです。

コンドミニアム下層のショッピングモールは歯抜けになる?


 新規コンドミニアム開発の多くは2棟、3棟、4棟といった連棟の巨大プロジェクトで、最下層部はおおむねショッピングモールになる予定です。

 ショッピングモールの上が駐車場、その上がレジデンス、というのが大抵のパターンなのですが、どう考えても同じエリアに大量の店舗用地を埋めることができるとは思えません。そもそも客がいないのにあちこちのモールに同時にテナントを誘致できるはずもなく、仮に今出店しても閑古鳥が鳴くだけで、すぐに撤退ということになるのは必至です。

 それに、これだけのモールの売上を維持するのは、コンドミニアムの住人やオフィス労働者だけでなく、外部からの一般客が来なければ難しいと思われます。

 そういえば私が投資したコンドミニアムのモールエリアにコンビニエンスストアがひとつ出店していましたが、10月下旬の訪問時、店内の客はゼロでした。テナントがいない歯抜けだらけのモールは、さびれた印象を受けて人は近づかないでしょう。日本でも、ガラガラのモールに行くくらいなら、ららぽーとやイオンモールなど賑わいのあるモールを選ぶはず。しかし、人がいないから売上目途が立たず、テナントも出店しない。こちらも負のスパイラルです。

 そんなガラガラのモールの上階にあるコンドミニアムを買いたいと思う人は多くないことが予想され、ショッピングモール併設のコンドミニアムの資産価値は著しく低下する可能性があります。ただしこれはデベロッパーのテナント誘致力に左右されますから、たとえばKLで成功したとかデべロッパー(不動産開発会社)の実績を確認しておく必要があります。

需要層と供給される物件グレードのミスマッチ


 そうはいってもJBの人口は首都KLに次ぐ第2の都市。東京や大阪のように、マレーシア全土から人がやってきて、人口は着実に増えている。ならば、賃貸が決まらないはずはないのにと考えていたら、そこには意外なカラクリがあったのです。

 これは現地の不動産業者から聞いた話ですが、増えている人口の内訳のほとんどは現地の一般的なマレーシア人にもかかわらず、供給されるコンドミニアムは高級路線に偏っており、そこにミスマッチが発生しているといいます。

 デベロッパーが考えるのは、どうせ同じ規模の物件を建てるなら、高く売れたほうがいいということ。となると、お金持ちの外国人・外国資本を獲得したい。しかしマレーシアでは100万リンギット規制(外国人は100万リンギ以上の物件しか買えないという規制。為替レートを1リンギ25円とすると2,500万円以上)があるため、そうなればどうしても100万リンギ以上の物件を建てたがる。そのため、現地人の感覚からすると手が届かない高価格帯の物件ばかりが供給されることになります。

 すると月給10万円前後の一般的なマレーシア人が払える賃料のグレードには程遠く、もちろん住宅ローンを組んだとしても購入できる価格帯ではありません。

 こうしてローカル向けの安価な物件は数が足りない半面、彼らには縁のない高級物件は借り手がおらず余るということになるわけです。この現象はまだ続いており、これから売り出されるプロジェクトの多くも高価格帯路線。このミスマッチは拡大こそすれ、縮小される気配は今のところありません。

今は貸せないし売れない時代


 つまり今のタイミングでは、日本人が買ったような物件は、貸すことも難しければ、売るに売れないということになります。実際、最近の新規プロジェクトの完売率は平均して6割から7割程度といわれており(ローカル向けの安価なプロジェクトは完売するものもある)、家が余っているのに転売することはもっと難しいというのは誰でもわかる話です。

 かつてマレーシア不動産ブームの時、日本人の販売仲介会社はさかんに「完成前に売り抜ければ、残金の用意は不要だしキャピタルゲインも得られる」と言っていましたが、今となっては当然そんなことは無理です。現実にも、転売できず残金も用意できない購入者によって、あちこちでキャンセルが起きているそうです。

 私はつねに「場所選びが重要」ということを主張してきましたが、ここまで過剰の上に過剰を塗り重ねられると、もはや場所の良し悪しなど関係ない、まさに手の打ちようがありません。

 しかもローンを組んでいれば、空室が続く限りローンの返済だけがのしかかってくるわけで、リンギット預金は目減りする一方、あるいは日本から何度も送金して補填しなければならなくなるのは火を見るより明らかです。実際そうなっている人がほとんどで、返済苦のため売却したいという日本人もちらほら出てきていると聞きました。しかし、こんな状況では売りたくても売れないし、大幅に値段を下げて(つまり多額の損切りをして)やっと売れるかどうかです。

 ただし、14年以前の50万リンギ規制(1,300万円)の頃にギリギリ50万リンギくらいで買った人や、それ以前にMM2H(マレーシア・マイセカンドホーム:10年更新型の長期滞在ビザ)を取得し安く買った人は、それでも転売益は出ているようです。このくらいならローカルの人たちでも住宅ローンを組めばなんとか手が届く価格だからです。

 では次回は、このイスカンダル計画が廃墟を生む可能性について考えてみたいと思います。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)

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