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富家孝「危ない医療」

「老衰」で死ねなくなった現代の異常さ…医学発達しすぎで「死の確定」困難化

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死亡診断書


 それでは、死亡診断書がどのように書かれるのか、説明してみたい。

 大学病院の例を挙げると、大学病院では患者さんが死んだときは解剖することが多い。死亡診断書を書くに当たって、なるべく解剖を行う決まりになっている。これは、大学病院が診療行為とともに医療研究を行うという使命があるからだ。そこで、前述のように疾患名を死因とすることになる。

 この死因に関しては、実は解剖して初めてわかることがある。たとえば、心臓疾患で死んだのに、解剖してみると胃に潰瘍があった、思いもよらない血管に疾患があったなどということはけっこうザラにある。なかには、がん患者ではなかったのに、解剖してみて初めて臓器にがんが見つかったなどということもある。
 

死の「確定」のプロセス


 このような経過を経て、死亡診断書が書かれるわけだが、ポイントは、「死亡の原因」をどのように書くかである。実は、それは次のように細かく7つに分かれている。

・(ア)直接死因と発病(発症)又は受傷から死亡までの期間 
・(イ)(ア)の原因と発病(発症)又は受傷から死亡までの期間 
・(ウ)(イ)の原因と発病(発症)又は受傷から死亡までの期間 
・(エ)(ウ)の原因と発病(発症)又は受傷から死亡までの期間 
・直接死因には関係しないが上記の疾病経過に影響を及ぼした傷病名等 
・手術の有無と手術年月日 
・解剖の有無とその主要所見

 なぜこのように細かいかというと、厚労省の死因統計に用いられるのが、「原死因」だからである。「直接死因」だけだと、本当の死因はわからない。直接死因というのは、死に至った直接の疾患名で、たとえば、「肺炎」だけの記述だと、これは「それまで元気だった人が肺炎を起こして死亡した」ということになってしまう。

 実際は、脳梗塞を5年前に起こし、その後、寝たきりで嚥下障害をたびたび起こしていた。そのため、肺炎を併発して死亡したということがある。この場合、死因が肺炎だけでは困るということである。

 そこで、このケースでは、「脳梗塞後遺症が根本の死因 (原死因)である」ということを明確にするため、(ア)に直接死因の「嚥下肺炎」と書き、(イ)欄以下に(ア)の原因として「脳梗塞後遺症」と記述することになる。

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