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出光興産、泥沼化する経営陣と創業家の対立…懸念される「最悪の事態」

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 月岡隆社長が辞表を懐に入れて、代理人抜きで創業家を直接説得し、昭介氏二男の正道氏を役員(それも常務以上)に就ける妥協案を早急に示すしかない、との声が社内外から出ているが、月岡社長の決断が注目される。

 かつて7代目社長の出光昭氏(創業者・出光佐三氏の末弟で2代目社長の計助氏の二男、持ち株ゼロ)は、生き残りを賭け外部資本の受け入れと株式上場を決断した。当時会長だった昭介氏(佐三氏の長男で、創業家の直系)は、この時も猛反対したが、第8代社長になった天坊昭彦氏が昭氏を強力にサポート。住友銀行、東海銀行、住友信託銀行(いずれも当時)など金融機関の後押しを受けて、株式公開を実現させた。この当時、昭介氏は出光株を40%支配する、唯一の個人大株主だった。現在より持ち株は多かったが、会長を辞任した。

 株式公開後、出光一族の役員は一人もいなくなり、創業家が経営に口を挟むことはなかった。そのため「創業家の影響力はほとんどない」と月岡社長が判断したことで、昭介氏とボタンの掛け違いを起こし、感情的な反発を招いてしまったのだ。

「月岡社長に天坊氏の半分の経営力(経営者の器)があれば、事態はここまでドロ沼状態にならなかっただろう」(出光興産の関係者)との声も聞こえる。二重三重の意味で、月岡社長は人間力が試されている。

サウジアラムコにのみ込まれることを恐れる出光創業家

 サウジアラムコはサウジアラビア国営石油会社である。サウジアラムコは株式の5%未満を17年中に上場する計画だ。サウジ国内の証券取引所のほか米ニューヨーク市場への上場が有力視されている。日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)はサウジを訪れ、サウジアラムコの東京証券取引所への上場を働きかけている。

 サウジアラムコが上場すれば、時価総額は2兆ドル(約230兆円)を超えるとみられている。時価総額トップの米アップルを大きく上回り、世界最大のエネルギー会社となる。サウジアラムコはアラムコ・オーバーシーズ・カンパニー・ビー・ヴィ名義で昭和シェル石油株式を14.96%保有している。

 出光創業家が昭和シェルとの合併に反対する最大の理由は、サウジアラムコにのみ込まれて出光が消滅することを恐れているからだと指摘するエネルギー業界の首脳もいる。

 昭介氏が16年9月23日付で販売店の出光会会員に宛てた書簡に、次の一文が記載されている。

「韓国のS-Oil社の場合、かつては35%程度の株主であったサウジアラムコ社が、64%の株主となり社長も送り込まれ、タンカーがサウジアラビアとS-Oil社の間でしか往復しなくなっています。このような轍を踏まないようにしなければなりません」

 合併によってサウジアラムコが出光の大株主として入り込むことは、断固阻止したいと考えていることがわかる。いったん、大株主として橋頭堡を確保されれば、早晩、サウジアラムコにのみ込まれる可能性が高い。

 意思が乖離している経営陣と創業家の妥協点は見つかるのだろうか。
(文=編集部)

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