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「実家=空き家」整理が社会問題化…田園都市線なら保有?東武伊勢崎線は即売却?

文=横山渉/ジャーナリスト
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 田園都市線では、35年時点の夜間人口は05年時点に比べ20.7%も増え、高齢化の進行は避けられないものの、生産年齢人口でも6.0%増える。京王線、東横線、埼玉高速線などは、生産年齢人口は減少するが、夜間人口はプラスで推移する。

 一方、芳しくないのは、日比谷線・東武伊勢崎線・日光線。夜間人口は23.4%も減少し、生産年齢人口に至っては36.1%減と、すさまじい状況になりそうだ。長嶋氏はこうアドバイスする。

「将来の人口減少が激しいエリアの空き家ほど、早急に『売り』です。理由は『今がもっとも高く売れる可能性が高い』からです。売り時を待っていても、今後価値が上昇する見込みは限りなく少ないでしょう。さらに、こうしたエリアでは『貸す』ことの意味も限定的です。周囲に競合する空き家が増え、価値は下がる一方という状況のなか、一定の投資を行いながら賃貸に出し収益を得ることにどのくらいの合理性があるのか。売らずに『貸す』場合にはまず、受け取れる賃料と管理費などの経費、リフォーム額などを割り出し、収益性がありそうか検討しましょう。賃貸するために投資した額を回収するのに数十年も要するようでは、貸し出す意味はありません。それから、実際には『田園都市線なら絶対に大丈夫』『東武線沿線は全部ダメ』ということではありません。沿線の地域によっても事情は異なります」

 長嶋氏によれば、田園都市線のように人口動態に恵まれているエリアでも、自身や親族が将来的に使う予定がない空き家ならば、原則売却でいいという。空き家を空き家のまま放置しておくと、建物はどんどん劣化し、資産価値が落ちていくからだ。

 2015年5月、いわゆる「空き家対策特別措置法」が全面施行された。防犯、景観、衛生などの観点から危険や害があると判断されると、その家屋は「特定空き家」に認定される。「特定空き家」になると、家屋への立ち入り調査も行えるほか、所有者に修繕や撤去を命令でき、さらに行政代執行で建物を解体して、その費用を所有者に請求できる。くれぐれも、「特定空き家」に認定される前に適切な判断を。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

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