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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

「日本一おいしい○○」審査への根本的疑問…「本当においしい○○」が選ばれない構造的矛盾

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

 何かのコンテストで大賞を受賞した商品を実際に食べてみて、「本当にこれが一番だったのか?」と疑問に感じたという経験をした人は決して少なくはないと思いますが、それはこうした要因によりギャップが生じるためであると感じた次第です。

 人それぞれ好みは異なりますし、簡単に数値化できる工業製品とは違う難しさが食品にはつきものゆえ、仕方のないことかもしれません。

品評会の意義

 当然のことながら、品評会において最優秀賞を受賞すれば、豆腐メーカーにとって大きな名誉ですし、販売増にも大きく貢献するでしょう。しかし、受賞できなくても、品評会に出品する意義は大きいようです。

 たとえば、地区予選では1位になったものの、本大会ではなんの賞も獲得できなかった豆腐メーカーの方は、「地元ではおいしいといわれているが、全国レベルではダメだ。手づくりを復活させるなど、新たにチャレンジにしていきたい」と、大いにモチベーションを高めていました。また、なかなか全国の豆腐を食べ比べる機会はなく、競合他社商品の食べ比べができる品評会の場は貴重なマーケティングリサーチの場にもなっているようです。

 なにはともあれ、こうした品評会により、業界が活性化していくことは実に素晴らしいと感じた次第です。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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