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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

ビタミンCは風邪に効く、はデタラメ?サプリ等の合成モノは体に有害?尿路結石に?

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長

 2007年のコクラン・レビューに基づいて、「ビタミンC風邪に対する有効性は否定された」という報道がなされ、多くの医療従事者もあまりレポートの内容を読むことなく、その報道を鵜呑みにしました。実際のコクラン・レビューの内容はどのようなものだったのでしょうか。現在最新のものである13年のレポートの内容は以下のようなものです。(参考文献2)

 ビタミンCと風邪予防についての介入試験の結果をまとめて解析したところ、1日200mg以上のビタミンCを継続的に使用することにより、偽薬と比較して、風邪の罹患率は3%低下する傾向を示しましたが、統計的にギリギリ有意ではありませんでした(95%CI;0.94から1.00)。

 ただ、マラソンランナーやスキーヤー、兵士などを対象としたデータでは、風邪の罹患率はビタミンC使用により、52%有意に低下していました(95%CI;0.35から0.64)。つまり、こうした日頃運動をしていて肉体的なストレスが掛かっている青年層では、かなりの有効性がある、ということが分かります。

 またビタミンCを常時摂取することにより、風邪症状の持続期間は成人では8%短縮し(95%CI;0.88から0.97)、小児では14%有意に低下していました(95%CI;0.79から0.93)。特に小児で1日1000mgから2000mgという高用量を摂取したケースでは、その持続期間は18%の短縮を認め、重症度の低下も認められています(95%CI;0.70から0.93)。

 このようにコクラン・レビューの記載は、ビタミンCの風邪予防効果を完全に否定する、というような性質のものではありません。特に小児やスポーツなどの身体的ストレスに常時さらされている人では、一定の予防効果が期待できる、という結果になっているのです。

風邪にビタミンCはどの程度効果的なのか?

 現時点でわかっていることをまとめると、不特定多数の人がビタミンCを摂取したからといって、それで確実に風邪が予防される、というものではありません。

 ただ、風邪をひきやすい小児や、スポーツを常時されているような若い方では、1日1000mgを超えるビタミンCを継続的に使用することにより、一定の風邪予防効果と罹った場合の重症化予防効果が期待できます。

 ビタミンCは成人では1000mgを使用して特に問題はありませんが、小児の場合は体格により、その用量はより慎重に設定する必要があると思います。

 そして、一旦風邪症状が出現してからの使用については、少なくとも治療という側面では、ほぼ無効と考えたほうが良いようです。

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

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