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盟主・三越伊勢丹、急速に経営悪化の異常事態…百貨店の存在意義消失か、エステサロン買収

文=編集部

 訪日外国人による“爆買い”が失速したことも一因。銀座三越は中国人の爆買いの恩恵をもっとも受けた百貨店だった。ところが爆買いバブルが弾け、16年4月~17年1月の累計売り上げは前年同期比5.8%減と大きく落ち込んだ。

 何より「ファッションの伊勢丹」の顔である伊勢丹新宿本店の不振が大きな痛手となった。ファッション性の高い商品で高所得層を取り込み、好調を保ってきた旗艦店が落ち込んだのだ。

 16年4月~17年1月の婦人服・洋品の売り上げは2.8%減となった。伊勢丹新宿本店の衣料品売上高の全体に占める割合は43%、靴やアクセサリーなど身の回りを含めると58%に達する。13年の店舗改装に合わせて高級化路線にシフトしたが、消費の減速でこれが裏目に出たかたちだ。

 伊勢丹新宿本店という大黒柱が揺らいだ三越伊勢丹HDは店舗リストラに乗り出した。17年3月には千葉三越と多摩センター三越を閉店。松山三越と広島三越、伊勢丹松戸店や伊勢丹府中店は事業を縮小する。さらに丸井今井本店、三越札幌、新潟伊勢丹、三越新潟、静岡伊勢丹も閉店や業態の転換を検討している。

「モノ消費」から「コト消費」へ

 大都市の大型店の儲けで地方店を維持するという収益構造が転換点を迎えたということだ。収益の柱だった衣料品の停滞が続くとなれば、百貨店はどこへ向かうのか。

「モノ消費」から「コト消費」へ。百貨店業界に限らず、近年、これが合言葉となっている。市場は成熟し、すでに必要なモノはほとんど手に入った。人々の関心はモノの所有欲を満たすことから、体験や思い出、人間関係などの目に見えない価値であるコトに移行しているという説だ。

 コト消費はシニア世代を中心に消費者を攻略する手法として注目されてきた。三越伊勢丹HDはコト消費を強化してモノ消費の不振を補う。物販以外のサービス事業を拡大する。

 今年1月、国内外でエステサロンやヘアサロンを展開するSWPホールディングスを買収して、子会社にした。そして今度はシニア向けの旅行会社、ニッコウトラベルを買収する。ニッコウトラベルは60歳以上の富裕層を主要顧客としているため、百貨店の顧客層との親和性は高い。

 三越伊勢丹HDは三越伊勢丹旅行を傘下に持つ。売り上げ規模は三越伊勢丹旅行が70億円で、ニッコウトラベルは40億円。将来的には旅行業で150~200億円の取扱高を目指している。

 ニッコウトラベルの買収発表を受けて、三越伊勢丹HDの株価は2月13日に1413円の高値を付けた。16年6月28日の安値885円と比較すると6割近く上昇した。コト消費への対応を評価したということだ。

 コト消費に力を入れる三越伊勢丹HDが、次はどこを買収するのか注目される。
(文=編集部)

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