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人気薬「ボルタレン」を効果的に使うコツ! 「ぎっくり腰」の自宅治療も可能に

文=三木貴弘
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「ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)」は、「ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)」と並んで非常によく使われる「解熱鎮痛剤」だ。その手軽さと効果から、人気の大衆薬のひとつである。

 ボルタレンとロキソニンは、どちらも「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に分類される。その目的は「炎症を抑える」ことだが、両者の違いはどこにあるのだろうか。そのひとつに挙げられるのは、ボルタレンはロキソニンよりも「強い効果がある」といわれている点にある。

 イメージ的には、ロキソニンは「素早く効くが持続時間が短い」、ボルタレンは「強く効いて持続時間が長い」――。

 ボルタレンは、飲み薬、貼り薬などのさまざまな製品が市販されており、ドラッグストアなどで目にすることも多い。入手しやすく手軽に使えるが、皆さんはその特性を理解して効果的に使っているだろうか?

 痛み止めの効果のあるボルタレンだが、痛みにはいくつか種類がある。炎症からくるもの(ぎっくり腰や打撲などの痛みはこれに当たることが多い)、偏頭痛などの痛み、神経系の痛みなどだ。

 ボルタレンが効くのは、「炎症による痛み」である。ほかの痛みには、それに適した薬を飲んだほうがいい。

ぎっくり腰は<炎症>の痛み

 それを踏まえた上で、「ぎっくり腰にボルタレンは効くのか?」ということを説明したい。

 ぎっくり腰は、動作の途中で激しい痛みが腰部に生じるのが特徴だ。これは腰の組織(筋肉、靭帯など)が、<引っかかったり><挟み込まれたり>することで、その部分に炎症が生じて起きる。

 そう、ぎっくり腰は「炎症による痛み」。ボルタレンなどの抗炎症薬は、ぎっくり腰に効果がある。ただし、<初期>のぎっくり腰だ。

 ぎっくり腰になると、数週間、腰を動かさないようにして、薬を飲み続けている人がたまにいる。ボルタレンなどの抗炎症薬を飲んでいるなら、過度な安静を続けるのは避けたほうがいい。

 これは、慎重になって腰を守ってしまい、その間に腰の周囲の筋肉が衰える。<痛みへの恐怖>も体に残ってしまい、不自然な動作やクセが身につく危険性がある。過度な安静は、好ましくない(というかやめてほしい)。

 ぎっくり腰は「風邪」を引いたようなものだ。適切な処置をすれば治る。ぎっくり腰になってしまったら、ボルタレンなどで痛みを和らげ、なるべくいつもどおりの生活を続けることが大切だ。日常生活や仕事に早期復帰することが可能である。

初期の激痛は1カ月も続かない

 ぎっくり腰になって、痛みが長引いているという人がいる。それは、初期と治りかけの痛みを混乱している場合が多い。ぎっくり腰の最初の激しい痛みは、前述のとおり炎症が原因だ。しかし、それが1カ月も続くことはまずない。

 痛みが長引く場合、動作におかしなクセ(過度に腰を守るなど)がついてしまい、筋肉が不自然な方向に伸ばされることによる二次的な痛みの可能性もある。再び激痛が襲うのではないかという恐怖、それが脳に刻まれているという心理的な問題である。

 この場合は、ぎっくり腰の炎症による痛みはすでに消えている。ボルタレンを飲んだところで、あまり効果はないのだ。むしろ、ぎっくり腰になる前の「動き」に戻す必要がある。心理的な要因も絡み合った複雑な痛みには、薬だけでの改善は難しい。

 そもそも、ぎっくり腰は医療機関を受診しなくても、正しい知識をもっていれば、ボルタレンなどの薬と適切な処置による自宅療養で治る。初期の炎症による痛みを和らげるためにボルタレンは有効だ。

 ただし、説明してきたとおり、その特性を理解して正しい使い方を心がけてほしい。安易な使用を避けるためにも、薬剤師や登録販売員などの正しい知識をもった専門家に助言を受けてもらいたい。
(文=三木貴弘)

※本稿は、「ヘルスプレス」にて、連載記事「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」として掲載されたものです。

三木貴弘/理学療法士

三木貴弘/理学療法士

日本で理学療法士として勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の医療、理学療法を学ぶ。2014年に帰国し、東京の医療機関に理学療法士として勤務。現在は札幌市の整形外科専門の医療機関に勤務。その傍ら、一般の人に対しても正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。執筆依頼は、”Contact.mikitaka@gmail.com”まで。

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