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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

トランプの米国第一主義=「反戦主義」批判は見当違い…米国建国の精神そのもの

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 再び外国と恒久的な軍事同盟を結ぶのは、およそ150年後。第二次世界大戦後、北大西洋条約機構(NATO)を結成する北大西洋条約や、中南米諸国との集団安全保障を定めるリオ条約を相次いで締結したときである。その後、日本や韓国、フィリピンなどとも同盟を結び、多数の国が米国と同盟関係にある。

 現代の私たちにはこれが当たり前に見えるかもしれない。しかし米国の外交政策の歴史から見れば、むしろ今のように多くの同盟を結ぶ状態が異常ともいえる。そうした背景を頭に入れておかないと、トランプ氏の同盟見直しの主張がひたすら突飛に見え、ヒステリックに叩くことになる。

米国第一委員会


 米国史上、ワシントンの言葉が示す非同盟や不介入の外交方針から政府が逸脱し、自衛に不要な戦争に加わろうとすると、国内から厳しい批判が巻き起こった。スペインとの米西戦争(1898年)、第一次世界大戦への参戦(1917年)の際もそうだが、最も政府批判が高まったのは第二次世界大戦への参戦(1941年)前夜である。

 当時批判の中心となった民間組織は、名前をずばり「米国第一委員会」という。エール大学法科大学院の学生らが1940年9月に設立。さまざまな政治的立場の人々が参加し、会員数は最盛期でおよそ80万人に達した。著名人にはウォルト・ディズニー、作家ウィリアム・サローヤン、シンクレア・ルイス、詩人E・E・カミングス、大西洋単独無着陸飛行で知られるチャールズ・リンドバーグらがいる。多くの企業人も参加した。

 当時のフランクリン・ルーズベルト政権は、欧州で大戦が勃発した後、表面上は中立を保ちつつ、英国など連合国側に味方する姿勢を強めた。これを米国第一委員会は批判する。同政権の提案する連合国への武器貸与や、軍需品輸送の護衛などに反対。日本に対する経済圧力も批判した。

 結果的には、米国第一委員会は政府の第二次大戦参戦を阻止することはできなかった。しかし、米国の反戦運動としてはそれまでで最大規模であり、米国第一主義がその原動力になったのは事実である。

 トランプ氏が保護貿易、公共事業、移民排斥など不介入の外交政策とは無関係な政策まで「米国第一」でひとくくりにするせいで、米国第一主義の印象が悪化してしまったきらいはある。しかしだからといって、軍事同盟の見直しという十分検討に値する政策まで叩くのは、批判するメディア側の不勉強ないし歪んだ意図を示すものでしかない。
(文=筈井利人/経済ジャーナリスト)

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