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東京都内に多数の路面電車計画?葛飾区は推進、豊島区は実質消滅…事故と渋滞の懸念も

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 地下鉄8号線の延伸計画とは、有楽町線を豊洲駅から分岐させて半蔵門線住吉駅まで延伸させる計画のことだ。住吉駅より先は、半蔵門線に乗り入れることも検討されている。そのため、埼玉県南部・千葉県北西部の自治体からも早期実現を望む声が高まっている。

 地下鉄8号線の延伸計画を実現するには、江東区が構想しているLRT計画よりも莫大な建設費用が必要になる。それでも地下鉄計画を優先するということは、実質的に、江東区がLRT計画を白紙撤回したということでもある。

 LRT構想が持ち上がっていた豊島区でも同様だ。豊島区では、サンシャイン60を中心にした東池袋の再開発が昭和60年代から議論されてきた。再開発に合わせて、東池袋にLRT計画も浮上した。東池袋のLRT計画は、推進派の高野之夫区長が当選したことで勢いを増した。豊島区の職員は、こう話す。

「池袋ではLRTの線路が建設されることを想定し、西武池袋本店に通じるグリーン大通り沿いのコンビニエンスストアの出店を規制しました。その理由は、グリーン大通りに路面電車が走るから、というものです。路面電車とコンビニでは街の景観として調和しないので、なんとかコンビニ出店を辞退してもらい、替わりにカフェが出店しています」

 これは路面電車が走る街にはオープンカフェが似合うという高野区長の意向に沿ったものだとされている。それほど豊島区はLRT構想に力を入れていたが、東池袋の再開発が終わりに近づいても路面電車は姿形も現していない。まだ、豊島区のLRT構想は完全に潰えたわけではないようだが、実現可能性はほとんどゼロに等しい。

「豊島区には都電荒川線が走っているので、区民にとって路面電車は親しみのある存在です。その一方で、豊島区がLRT構想を打ち出した際にも都電荒川線のような“チンチン電車”をイメージする区民が多くいました。豊島区が打ち出したのは、ヨーロッパで盛んに走っている新型の路面電車であり、レトロな路面電車ではありません。しかし、どうしても旧来の路面電車という概念を払拭できず、『なんで、いまさら路面電車なんだ』という反対意見も聞かれました。高齢者のみならず、若年層にも路面電車は古いというイメージが定着していて、思うように理解が広がらなかったのです」(同)

自動車交通の邪魔?

 路面電車が時代遅れというイメージを抱いているのは、豊島区民ばかりではない。地域差はあるものの、各地で持ち上がっているLRT構想には少なからず反対の声が存在する。そうした反対意見で、頻繁に聞かれるのが「自動車交通の邪魔になる」といった声だ。

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