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『カルテット』、すずめ(満島)の「好き」はそれでいいのか?「片思いの一方通行」が疾走

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カルテット HP」より

「大人のラブストーリー」を謳う、連続テレビドラマ『カルテット』(TBS系)。3月7日放送の第8話は、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド「日本―キューバ」が延長した影響で70分繰り下げて放送されたが、それでも平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と健闘するなど、視聴者から熱い支持を得ている。

 タイトルが「四重奏」を意味する通り、4人の主要キャラクター・早乙女真紀(松たか子)、別府司(松田龍平)、世吹すずめ(満島ひかり)、家森諭高(高橋一生)を中心に展開する同ドラマ。ある日知り合った4人は、別府の祖父が所有する旧軽井沢奥の別荘で、共同生活を送っている。

 彼らの境遇はさまざまだが、真紀は第7話で夫(宮藤官九郎)と離婚。そんな彼女のことが好きな別府、また、別府に恋するすずめ……というように、それぞれの思いが錯綜していた。そんななか、第8話では、すずめが別府と真紀をくっつけようと画策。また、家森に対しても「(別府と真紀の関係がうまくいくように)協力してください」とお願いするすずめだったが、ドラマ終盤には、家森もまたすずめに片思いしていることが発覚し、4人の“片思いの一方通行”の構図が明らかになった。

 ここで、なぜ『カルテット』がウケているのかを考えてみる。

 登場人物全員が片思い、とは、別段珍しい話でもなく、少女漫画ならむしろありがちな設定だろう。だからといって、安易に若手俳優や女優を起用したのでは、本当に「ありがちだね」で終わるところを、あえて「大人のラブストーリー」にしたのは正解だったといえる。

 また、“片思い”をサイドストーリーで片付けず、きちんとクローズアップして描いているところもいい。これによって4人全員が主人公となり、視聴者は“4パターンの片思い”のどれかしらに共感や感情移入ができる。

 そして、人によっては“自分と似ている片思い”を見せつけられることで、ハッと気づくこともあるだろう。第8話で、すずめがアルバイト先の上司に「私の好きな人には好きな人がいて、その好きな人も、私は好きな人で。うまく行くといいなぁ、って」と話すシーン。上司から「キミの“好き”はどこ行くの?」と尋ねられたすずめは、「あぁ。私の“好き”は、その辺にゴロゴロしてるっていうか……」と続けたが、視聴者として客観的に見ていると「それでいいの?」と心配になってしまう。

 だが、実際にすずめのような片思いをしていた人、している人も多いのではないか。そんな人達は、ドラマを見て「すずめちゃん、それでいいの?」と思わされることで、“自分の片思い”をもっと大事にできるようになるのかもしれない。支持されるドラマは、やはり視聴者の心を動かすのだ。
(文=美神サチコ/コラムニスト)