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三越伊勢丹、クーデター勃発で2トップ電撃退任か…社内対立先鋭化「三越ばかりリストラ」

文=編集部
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メーンバンクが仕掛けた伊勢丹による三越の救済合併

 そもそも、三越と伊勢丹の経営統合を仕掛けたのは、三越のメーンバンクの三井住友銀行だった。三越の業績悪化に業を煮やした三井住友銀行が、三越に対して「伊勢丹と組んで再生すべきだ」と迫ったという。三越の伊勢丹への実質的な売却であるから、伊勢丹のメーンバンクである三菱東京UFJ銀行は統合を受け入れた。

 それは、持ち株会社三越伊勢丹HDの株主構成を見れば明らかだ。三菱東京UFJ銀行は第8位の大株主だが、三井住友銀行は上位10番に入っていない。

 三越も伊勢丹も「企業風土があまりにも違いすぎる」として、当初は統合に消極的だった。それでもメーンバンクの意向には逆らえなかった。2008年4月、持ち株会社、三越伊勢丹HDが発足した。近代百貨店の祖・三越のプライドを傷つけないようにするとの配慮から、社名は三越を先にした。持ち株会社の初代社長には、三越社長の石塚氏が就いた。

 三越と組むことを決断した武藤信一・伊勢丹社長は09年6月、社長の椅子を大西洋氏に譲るとともに、三越伊勢丹HDの会長兼最高経営責任者(CEO)に就き、全権を掌握した。だが10年1月、武藤氏が急死し、最高実力者を失った社内は大混乱に陥った。後任人事が発表されたのは、武藤氏の死去から8日後のことだった。

 その舞台裏は、三越と伊勢丹の妥協が成立したことによる。CEOを廃止し、集団経営体制に移行。持ち株会社は伊勢丹出身の橋本幹雄氏が会長、三越出身の石塚氏が社長(続投)となった。共同統治体制といえば聞こえがいいが、実際には誰も責任を取らない“無責任体制”に陥ったと揶揄する声もある。

 新体制の大仕事は、三越と伊勢丹の百貨店事業の統合だった。11年4月、合併新会社として三越伊勢丹が発足した。そして12年2月、持ち株会社三越伊勢丹HDの会長に石塚氏、社長に大西氏が就任して、今日に至っている。

ボーナス格差で火がつき、三越の店舗リストラで不満が爆発

 三越伊勢丹は船出した直後から逆風に見舞われた。給与体系は合併後に一本化されたが、ボーナスの格差は凄まじかった。伊勢丹出身者の11年夏のボーナスは三越出身者の2倍以上といわれたほどだ。

 カネの恨みは恐ろしい。旧三越側は「同じ仕事をしているのに、なぜこんなに差が出るのか」と不満を募らせた。一方、旧伊勢丹側は「働かない三越勢に足を引っ張られている」との恨みが強かった。慶應義塾大学出身者が幅を利かせ、“おぼっちゃま”体質の三越と体育会系の伊勢丹では、肌が合うわけがなかった。そんななかで、ボーナス格差が対立の火に油を注いだ。このボーナス格差は、16年夏になってやっと解消した。

BusinessJournal編集部

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