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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

WBC出場国や大リーガーから注文殺到!社員数1ケタの野球防具メーカーの知恵

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

WBC出場国や大リーガーから注文殺到!社員数1ケタの野球防具メーカーの知恵の画像5ロビンソン・カノ選手(シアトルマリナーズ所属/ドミニカ代表)

【戦術3 多額の費用をかけずに海外展開】

 WBCやシーズン開幕を控えて盛り上がるプロ野球だが、実は国内野球市場の先行きは厳しい。少年の選手登録数はサッカーよりも少なく、草野球を楽しむ大人も減っている。国内における総人口減少の数倍の早さで「野球競技人口の減少」が進むのだ。さらにベルガードの得意な防具のうち、アームガードやフットガードは、硬球を使用しない軟式野球の選手はあまり使わない。逆に硬式野球しかない海外市場はその意味でも魅力的だ。

 しかも、多額の費用を投資せずに海外展開できる時代となった。先述したインスタグラムのようなソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は、コストもほとんどかからず海外からの注文も直接入るので、非常に効果的だという。昨秋には提携先のBelgard baseball USA に委託して米国内での販売もスタートさせた。以前から注力してきた韓国では、現地企業と販売契約をし、韓国における事業拡大も図っている。

「野球のプレースタイルは米国と日本と韓国では違いますが、商品の使い勝手を評価してくれる姿勢はどこの国でも共通しています。総じて外国人選手は気に入ると、野球少年のように喜んでくれます」(同)

 利益確保の視点では、インターネットによって商品カタログなどの制作コストも下がった。現在は外注せずに社内で商品を撮影し、自分たちで内容を構成して印刷したり、ネットで発信したりする。制作コストは、前の会社時代に比べて1%程度に抑えられたという。

 良い商品をつくれば売れるという時代ではないので、一般消費者を相手にする小企業は、さまざまな知恵を絞る必要がある。一方で、従来の手法にとらわれずに積極的に行えば、思わぬ市場を開拓できることもある。同社の海外市場開拓は、その一例だ。ビジネス環境の変化が激しい時代、そうした変化の波に乗る姿勢も大切だろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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