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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

「老人化する子供」の骨折増加…サプリで栄養補給&炭水化物依存が体を滅ぼす

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

サプリで血糖値を下げるという発想の間違い

 少し前まで、骨は一定の内容を維持していると考えられていたのですが、実は、硬い骨も常に内容物の入れ替わりがあり、骨に貯蔵されているカルシウムも、血中のカルシウム濃度を一定に保つために使われていることがわかりました。

 そして「オステオカルシン」というたんぱく質が、骨芽細胞によって合成され、また骨の代謝や形成に深くかかわっているということもわかりました。さらに、オステオカルシンは、さまざまな内臓器官にも影響を与えていることも突き止められたのです。

 特に注目されているのは、膵臓のベータ細胞を刺激し、インスリンの分泌を促すことから、血糖値を下げ、結果的に糖尿病の予防に役立つ可能性があるという点です。この作用に目をつけた製薬メーカーからは、オステオカルシンのサプリメントが販売されていますが、筆者は健常な人がこのサプリメントを多量に摂取することには賛成できません。たとえ一時的にオステオカルシンの働きによってインスリンの合成が活発になったとしても、そこには自ずと限界があります。

 私たちが摂る食事は、微妙なバランスの上に成り立っています。そのバランスの崩れのひとつが、炭水化物の摂取の仕方によって起こっているのです。そのアンバランスな炭水化物の摂り方をそのままにしておいて、サプリメントで膵臓の働きを活発化し、インスリンを多量に出して血糖値を下げようという発想は、間違っているように思えます。

 人間は、多種類の栄養素を必要としている動物です。その多種類の栄養素をうまく組み合わせて、体の中で使いこなすことによって、人類は生き延びてきたのです。つまり、それは、長い年月をかけて獲得してきた人類特有の能力のひとつなのです。さまざまな地域で、その土地の産物、季節の恵みを活用して「豊か」な食卓を創り上げることこそ、文化の象徴といえるのではないでしょうか。

 三島由紀夫は、かつて、こんなことを述べています。

「文化というものは、目に見える形になった結果から判断していい」

 まさに、そのとおりだと思います。食文化というのは、さまざまな要素が織り交ざりあって形を成して、できあがるものです。それを理解しない人が多すぎることに、憤りさえ感じます。「頭」という字にも、豆が使われています。ぜひ知恵をもって理解していただきたいと思います。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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