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あの「TPP暴露本」が密かに刊行されていた!西川公也元農相が怪気炎「TPPは必ず動き出す」

文=編集部
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あの「TPP暴露本」が密かに刊行されていた!西川公也元農相が怪気炎「TPPは必ず動き出す」の画像1「衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会」の委員長を務め、このほど『TPPの真実』を刊行した西川公也元農相

 もし発効すれば、世界の国内総生産(GDP)の4割近くを占める経済圏をつくり出す、環太平洋経済連携協定(TPP)だが、1月23日にトランプ米大統領がTPP永久離脱を決定した大統領令に署名し、発効は暗礁に乗り上げてしまった。だが、日本政府はTPPの再起動をまだ諦めていない。

 そんな状況下、昨年4月のTPP国会審議で取り上げられたために刊行をめぐり紛糾し、発売が一旦中止となった問題の書が今年に入り発売され、話題となっている。それが『TPPの真実 壮大な協定をまとめあげた男たち』(開拓社)だ。著者は「衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会」の委員長を務めた西川公也元農林水産大臣(衆議院議員)。同書では、TPPの交渉過程における日本や米国等他国の交渉プロセスや決定事項がつまびらかに記されている。そこで本サイトは西川氏に、書籍の内容より一歩踏み込み、当初TPP反対を表明していたはずの自民党がなぜ交渉に乗り出したのか、トランプ大統領が大統領令に署名したのになぜ政府は諦めていないのか、など疑問をぶつけた。

――自民党は当初、TPP反対を掲げていたと記憶しています。西川氏も「TPP反対の立場であった」と書籍でも書かれ、また、特に農業関係者の反対が大きかったですが、農林族とも目されている西川氏にとって、安倍晋三総理の申し出とはいえ、自民党TPP対策委員長に就任することには葛藤があったのではないでしょうか。

西川公也氏(以下、西川) (葛藤は)ありましたね。なぜ私どもが反対していたのかといいますと、日本は農産物の交渉で、大きくかつ衝撃的な改革を迫られ、それをのんでしまった経験が過去に2度あったからです。最初は、1988年に牛肉・オレンジの自由化を迫られ、日米両政府で合意が結ばれたこと。最終的に、オレンジ等はミカンの端境期に入れることで落ち着きました。牛肉は一切買わないところから、関税をかけながら買うということになりました。日本の牛肉の生産農家とオレンジの生産農家は1988年、日米間の2国間協議で衝撃を受けたのです。

 2度目は、1993年12月15日、モロッコでのウルグアイ・ラウンド(GATT<関税貿易一般協定>での多角的貿易交渉)の決着をみたことです。内容は、コメの問題です。当時、日本側では「コメは一粒たりとも入れない」という、国会決議を複数回行っていたのですが、当時の細川内閣は合意してしまいました。合意内容は「日本での消費分のうち4%から輸入を始め、以後毎年0.8%輸入量を伸ばす」というものです。ミニマムアクセス米といいますが、日本は結局全量輸入することになりました。日本ではコメの消費が減少傾向にあるにもかかわらずです。私は、(コメの合意について)当時の政権が見通しを誤ったのだと思います。結局増やし続ける合意をしてしまった。

 こういう2回の失敗を日本は経験してしまっています。だから、私は最初、過去の轍を踏むのではないかとも考えていましたし、当初、このTPP交渉において、本当に日本の農産物を守れるかわからなかった。交渉を行えば、必ず相手から譲歩を迫られることになります。ですから、「こういう(TPPの)交渉に参加しないほうがよい」という思いを私は常々持っていました。

 そんななかで私の肚が決まったのは、「例外を認める」と、2013年2月22日の安倍・オバマ会談で確認されたからです。もちろん、どういう例外になるのかは交渉次第でしたが、例外が認められるならば、後は交渉力です。ならば、と私は受けさせていただいたのです。

過去の失敗と手強かった交渉相手

――日本の対外交渉力は弱いと言われていますが。

西川 交渉力では確かにそうですね。ですが、向こうが攻めてくるのは、牛肉、豚肉、米、大体このあたりが中心です。けれど、たとえば牛肉に関しては、日本の畜産物は良質なので、そう簡単にシェアがアメリカ、オーストラリアに切り取られない分野でもあるわけです。

 ここは、冷凍肉の輸入であれば、十分に乗り切れるという判断が当初からありました。もちろん冷蔵品であれば、また少し変わってきますが。そのため、私は日豪の交渉時、冷蔵と冷凍で最終税率を変えています。

――勝算があったということですね。

西川 はい。コメについては国内への影響を考慮して「輸入米によって価格に影響が出たものは同量、全額、国が買い上げます」と国内で決着しています。ですから、農家の方々が不安に思われる必要はありません。また市場でも影響はないとお考えいただいて問題ありません。

――「最後までわからず屋を通すほうが勝つ」と、本書にも書かれている交渉の秘訣ですが、交渉相手として一番手強かったのは、どの国でしたか。

西川 やはり、アメリカが一番手強かったですね。その次はニュージーランドです。ニュージーランドは小国ですが、畜産王国として有名です。(畜産が)国の基盤ということもあり、簡単には引き下がらなかったですね。

――ニュージーランドが手強いのは意外でした。アメリカが一番なのは、本書でもTPPを実質的には「日米FTA」と表現され、交渉におけるアメリカ側からの無茶な要求が克明に記録されていましたので予想していましたが、その強敵のアメリカから、トランプ大統領が即時離脱を公約に掲げるほどの譲歩を引き出せていたということですか。

西川 それは、日本の交渉団ががんばり抜いたということですね。市場規模からも、日米の2国間の協議内容はTPPの骨組みですから、そこが崩れてしまうとTPPは機能しないといっても過言ではありません。そのため、日米間で交渉をやり尽くしました。TPPによるGDPの上昇効果は、日本は13.6兆円、それに対してアメリカは4.7兆円しかないという試算が出ています。TPPは日本にとって、より「お得」な交渉となっていました。ですから、今回のアメリカの(離脱という)反応は仕方のないことでもあるわけです。

BusinessJournal編集部

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