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博多陥没事故の「危険な」大成建設、新国立競技場建設への不安…安倍首相との親密すぎる関係

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新国立競技場建設現場(アフロスポーツ)

 大成建設の山内隆司会長は、5月31日に日本経済団体連合会(経団連)の副会長に就く。建設業界からの副会長就任は、2002年に経団連が日本経営者団体連盟(日経連)と統合する以前を含めて初めてだ。

 経団連の榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)は2月6日の記者会見で、建設業界からの副会長起用について、「(経団連では)審議員会の副議長として、山内氏と宮本洋一清水建設代表取締役会長に活躍してもらっている。成長戦略を推進する上でインフラ輸出は重要だ。大成建設は海外でのインフラの取り組みを積極的に進め、大きな案件の実績も上がっている」と述べた。

 安倍晋三政権は日本再興戦略の中に、日本企業による海外でのインフラ受注を20年までに3倍の30兆円(10年の実績は10兆円)へ引き上げる計画を盛り込んだ。安倍首相自身、トップセールスを毎年10件以上行う。安倍首相の外国訪問に山内氏が頻繁に同行している。

 トルコ政府は13年10月、イスタンブールを東(アジア)と西(欧州)に分けるボスポラス海峡の海底トンネルの開通式典を開いた。大成建設が手掛け、日本政府が円借款を供与したプロジェクトで、日本の技術と資金の支援で完成した。式典には、安倍首相と山内氏(当時社長)が出席した。

 安倍首相は、日本企業のインフラ輸出のトップセールスを精力的にこなしているが、大成建設はその先兵となっている。安倍政権と蜜月関係にあることが、建設業界初の経団連副会長の座をたぐり寄せる原動力となった。

悲願の新国立競技場を受注

 山内氏は4月28日、総合建設会社(ゼネコン)など約150の企業・団体が加盟する日本建設業連合会(日建連)会長に就任する。中村満義会長(鹿島建設会長)は2期4年の任期満了で退任する。

 1993年のゼネコン汚職事件で、当時の日建連会長だった吉野照蔵清水建設会長が逮捕され、その後は前田建設工業の前田又兵衞会長が8年間、会長を務めた。2001年以降は再び、大成建設、鹿島建設、清水建設の3社による輪番制が復活し、2期4年ずつ会長を務めてきた。13年5月から中村氏が日建連会長に就いている。本来は大成建設の順番だったが、山内氏が年長の中村氏にポストを譲ったとされる。

 大成建設は15年4月、村田誉之(よしゆき)取締役常務執行役員が社長に昇格し、山内氏は代表権のある会長に就いた。東京大学工学部建築学科の研究室が同じで、先輩から後輩へのバトンタッチだった。ゼネコン大手の清水建設の宮本洋一会長と大林組の白石達(とおる)社長も、同じ研究室で山内氏の1年後輩だ。山内氏が日建連の会長になることで、次期会長の道筋も整ったといえる。

 日建連の次期会長に内定した山内氏は2月23日、東京・八丁堀の日建連本部で記者会見し、「働き方改革とインフラ輸出、20年の東京五輪・パラリンピックへの対応で万全を尽く す」と抱負を語った。

 15年12月、迷走してきた新国立競技場の事業者がやっと決まった。東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設は、大成建設と建築家の隈研吾氏・梓設計のチームに決定した。隈氏は村田氏と東大工学部建築学科で同期だ。

 大成建設にとっては悲願の受注だった。1958年に竣工した旧国立競技場は64年の東京オリンピックのメイン会場となり、大成建設にとって記念碑というべき事業となった。新国立競技場の受注を取り逃がすわけにはいかない大成建設は、受注が決定する前から資材の発注や作業員の確保を進めていた。

 A案は大成建設のチーム、B案は竹中工務店・清水建設・大林組の3社JV(共同企業体)と建築家の伊東豊雄氏・日本設計のチームだったが、「デキレース」とゼネコン幹部は見ていた。

 大成建設は安倍首相と同様、五輪組織委員会会長の森喜朗元首相とも蜜月関係にある。2つの案が発表されたとき、森氏が「B案がいい」と発言して物議を醸した。「嫌われ者の森氏があえてB案を推すことで、大成建設のA案への流れをつくった」と当時、ゼネコン業界では解説された。

 海外インフラと新国立競技場建設の受注は、まさに大成建設の“政治力”の賜物だ。

大成の時価総額はスーパーゼネコンのトップ

 上場しているスーパーゼネコン4社の業績は好調だ。震災復興に加え、首都圏の再開発、東京オリンピックのインフラ整備などで建設需要は旺盛となっている。

 スーパーゼネコン4社のなかで、株式市場で評価が高いのは大成建設である。17年3月期の業績予想では、売上高は大林組(1兆8650億円)、鹿島建設(1兆7800億円)、清水建設(1兆5550億円)、大成建設(1兆4700億円)の順。純利益は清水建設(840億円)、大林組(800億円)、鹿島建設(780億円)、大成建設(760億円)となっており、いずれも大成は4位だ。ところが、株式時価総額(3月3日終値時点)は大成建設が9219億円でトップ。以下、清水建設(8192億円)、鹿島建設(7686億円)、大林組(7474億円)となる。

 リーマン・ショック後、09年3月期に大成建設と鹿島建設が、10年3月期に清水建設と大林組が最終赤字に転落した。大手ゼネコンは、金融危機後の安値受注で業績が悪化した反省から、採算重視に転換。高い利益率をキープした豊富な工事量が、現在の好業績をもたらした。

 その原動力となっているのが、公共工事だ。11年3月の東日本大震災と、12年12月の第2次安倍内閣の発足でゼネコンの業績は好転した。なかでも、大成建設の収益力の改善が目立つ。これが株式市場で大成建設が高く評価されている理由だ。

 一方で、懸念材料もある。16年11月8日、福岡市のJR博多駅前で大規模な陥没事故が起きた。現場は市営地下鉄七隈(ななくま)線延伸工事の博多駅工区の一部。大成建設を代表とする5社のJVが工事を請け負っていた。

 JVは事故前日に、陥没の兆候を示す異常な数値を計測しながら、福岡市に報告せずに工事を続けていたことが明るみに出た。国土交通省が設置した第三者委員会は、3月中に事故原因と再発防止に向けた検討結果の中間報告をまとめる。

 大成建設は17年3月期の業績見通しに大規模陥没事故の影響を織り込んでいない。第三者委の報告を受け、業績の大幅な下方修正は避けられないかもしれない。
(文=編集部)

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