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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

【肉好きの人は必読】幻の特級ハム、1本千円超えでも好調な販売、贅沢すぎる材料と製法

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 販売エリアは地元である岐阜県をはじめ、東海圏が中心になっている。東海圏外に販売することもあるが、輸送コストが上昇することに加え、東海圏外では商品のブランドが認知されていないという問題がある。また、それぞれの地方には独自のニーズがあり、うまく対応できない部分もあるようだ。たとえば、薄味で知られる関西では塩味が強いと感じる消費者が多い、関東ではカラーフィルムで包装され、中身が目視できないパッケージに不安を感じる消費者が多いなどである。

より強いブランドの構築へ


 長きにわたり単品経営を行ってきたが、ここ5年、商品ラインアップを拡大させている。デフレの進行や競争環境が激化するなか、低価格競争を回避するには製品の品質は当然のこと、強いブランドが必要となる。単品では売り場においてインパクトがなく、明方ハムのコーナーを設けてもらうためには、ある程度の商品のバリエーションが必要となってくる。こうした商品の拡大に関しては、以前より流通業者から要望されていたこともあり、組織内で激しくもめることなく、意思決定が行われている。

 拡大した商品に注目すると、地元岐阜県産の銘柄豚「美濃ヘルシーポーク」のみを使用した健康志向のハム、ギフト向けの高級品となる味の極みシリーズ、醤油パウダーを練り込んだフランクフルトなどが、人気の商品となっている。

 以前は、社内の多くのスタッフを対象にマーケティングリサーチのようなことを行っていたが、なかなか意見がまとまらず有益ではないケースが目立った。そこで現在は、あまり細かい指示を出さず、職人に「いいものをつくってくれ」と任せる開発方法が主流となっている。現実には、「売ってみないとわからない」というのが正直なところであり、どんどんと試作品をつくり、まずは店頭に並べている。

 もちろん、こうした試作品のような商品を正式な流通ルートに載せることはできず、めぐみの農業協同組合が運営する「とれったひろば」というファーマーズマーケット内に出店している直売所で販売している。将来的には、こうした直営店において、一人ひとりの個客の要望に応えたハムなどを生産したいという意向を持っている。こうした消費者との接点として、直売所の役割は今後ますます大きくなってきそうである。

「真っ正直なハム」


 強いブランドの構築を目指し、以前は伝統や高級感を前面にPRしていたが、今の消費者には、値段が高い理由を納得してもらう必要がある。そこで、「真っ正直なハム」をキャッチコピーとして積極的に展開している。素材、製法、製品開発など、すべてにおいて真摯に誠実に行うという意味が込められており、結果、「当社の商品は安売りできない」「これだけのことをしているのだから、この価格は正当である」と消費者に理解してもらうことが意図されている。さらに、緑豊かな地元郡上は東海圏では人気の観光地であり、こうした良いイメージのある郡上とタッグを組んだPRにも取り組んでいる。

 今後は、「とれったひろば」における直営店などを活用し、消費者に「つくる」「みせる」「体験させる」といったことを積極的に展開していく予定だ。すでに、不定期ではあるものの、手づくりハム体験などのイベントを行っている。イベントにおいては、ブタはどういうものかということから知ってもらい、消費者の品質へのこだわりをさらに高め、大手ではなかなか真似のできない「真っ正直なハム」である明方ハムの価値を高めている。また、自社商品を中心とするレストランの運営などへの意向もある。これらの取組を通じて、食育をはじめとする消費者教育を行い、消費者に自社の商品が高い理由を理解してもらえればと考えている。

 最後に、海外市場への販売に関しては、実際、現在の生産能力では取り組むことは難しい状況である。しかし、今後の日本市場の縮小を考えると、将来に向けて検討を始めるべきであると捉えている。たとえば、台湾、タイ、シンガポールなどでは、現地の邦人だけを対象にしても、中小メーカーにとってはビジネスが成立する規模になるようである。輸送に関しては、船便では消費期限が短くなってしまう。空輸の場合、1.5~2倍程度の価格になるようだが、それでもなお現地で受け入れられる可能性は十分にあるとの認識であった。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)

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