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30~40代に多い「性交死」…「腹上死」はドラマ『ボタバラ』の過剰演出ではない?

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30〜40代に多い「性交死」!? 「腹上死」はドラマ『ボタバラ』の過剰演出ではない?の画像1
性交死は30〜40代の男性に多い!?(depositphotos.com)

 「腹上死」と聞いて、「角川映画『Wの悲劇』の冒頭に出てくるアレね」と反応するのは、昭和世代の邦画ファン。一方、「ドラマ『新・牡丹と薔薇』で初めて知った」と返してくるのは、今どきの昼ドラマニアだろう。

 波乱万丈・急転直下の愛憎劇、略称『ボタバラ』。満面笑みでの「性交死」シーンは、SNS上で「腹上死」が急上昇ワードにランク入りするほど話題を呼んだ。

 そんな「ボタバラ現象」が海を越えて飛び火したわけでもなかろうが、高齢入りしても旺盛な性欲と心疾患リスクの関連性について、最新の医学的報告が公表されたので紹介しておこう。

性的やんちゃオヤジは心疾患が脆弱!?

 注目の論考を執筆したのは、米ミシガン州立大学社会学准教授であるHui Liu氏らの研究班。彼らの成果は『Journal of Health and Social Behavior』(2016年9月6日オンライン版)に掲載された。

 性的にやんちゃな高齢男性と平均的紳士との健康上の相違が判明したのは、全米社会生活・健康・加齢プロジェクト(NSHAP)に参加した2200人以上の高齢男女の実態(調査回答)に基づく解析からだ。

 この「高齢者の性行動」に関する調査は、5年の経年を挟んで2回行われた。1回目(2005〜2006年)の調査当時、対象男女の年齢幅は57〜85歳。2回目がその5年後であるから、彼らはそれぞれ62〜90歳まで高齢度を増している計算となる。

 この調査では、「過去1年間に性交渉はありましたか?」という共通の質問事項が設けられた。つまり、1回目の回答時点では全員が55歳を越えてからの性交渉体験を問われ、2回目では60歳以上での「現役ぶり」を聞かれたというわけだ。

 注目の結果はこうだった――。

 男性の場合は、5年前(57〜85歳)の時点で「この1年間で性交渉あり」が約70%を占めたが、5年後(62〜90歳)は約50%まで減少。60歳を過ぎてまだ半数が現役組で占められているのは立派(?)なほうだろう。

 というのも、女性の場合、最年少者が50代半ばの5年前でも「この1年間で性交渉あり」が半数を割る約40%、さらに5年の月日が流れたら約23%まで減少しているからだ。

 やはり、男性のほうがぎんぎらぎんでヤル気あり、その現役比の性差は著しい。実際、男性陣は性交渉の頻度も高く(交渉相手の詳細は不明)、自らの性生活に「身体的にも極めて満足している」と回答している層が多かった。

興奮行為で心拍数や血圧が上昇! 病気を誘発して突然死

 では、老いてなお性的に満たされている生活は、心身ともに利点ばかりなのだろうか?

 今回の研究が耳目を集めているのはこの点で、Lui氏らはさらに2回の調査回答を「重要な心血管評価指標」と照らし合わせ、次のような健康上のリスクを突きとめた。

 まずは男性の傾向を見ると、5年後も「週1回以上」の高齢現役(絶倫?)組と、「ご無沙汰気味」の実質リタイア組とを比較した場合、心臓発作や心不全、あるいは脳卒中が生じるリスクが、前者は後者の「ほぼ2倍」というデータが得られた。

 それは性交渉に「満足したか/しないか」の個人差に関係なく、「性生活が楽しい」と答えた男性層でも、リタイア組比では心疾患リスクが低い傾向が認められた。

 一方、興味深いのは、高齢女性層に認められた対照的な結果だ。性生活に「極めて満足している」あるいは「満足している」との回答層は、そうでない高齢淑女たちと比較した場合、高血圧リスクは低かったそうだ。

 興奮行為の最中(や事後に)心拍数や血圧が上昇した結果、病気が誘発されて突然死する「腹上死」。米国心臓協会と欧州心臓学評議会が2013年に発表した腹上死に関する「共同声明」によると、その92.6%が男性層を見舞い、大半が不倫相手との性交中とのことだ。

30〜40代の中年層に多い「性交死」

 研究陣を代表してLui氏は次のように解説する。

 「性交渉は巷間、健康に良いものだと思われている。それを思えば今回の結果は、われわれにも実に意外な結果でした。一般的に男性は高齢になるにつれ、医学的・心理的理由からオーガズムの達成が困難になるもの。それが過度な努力や消耗、そして心血管ストレスにつながるのではないかと考えられます」

 しかし、元東京都監察医務院長の上野正彦氏によると、「性交死」は高齢層より30〜40代の中年層に多く、季節は「春」、場所は「自宅」「ホテル」「愛人宅」の順だという(「性行為と 心血管事故の 発生の関連」2005 Vol.3 No.1 ED Practice 21)。

 最近のネット造語では、過度な自慰行為による突然死を「テクノブレイク」と呼ぶが、上野氏のレポートでも8%の「自慰」の最中の「自死」が認められているという。

 そして、先の米国心臓協会と欧州心臓学評議会による「共同声明」の調査でも指摘されているように、普段と多少異なる環境下(不倫の逢瀬→至福の飲酒→ホテル入り)での精神的興奮による悲劇、これに年齢差大のガンバリが合わされば「ボタバラ死」=「性交死」が降りてくる。

 現在のお相手を脳裏に思い浮かべ、多少なりともこれらの誘発条件が連想されたならば要注意。まだ、口説かれ中であるならば思い切って踵を返すのも一考かも。
(文=ヘルスプレス編集部)

※初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」