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韓国、慰安婦問題解決の日韓合意を破棄か…韓国と中国、冷戦状態突入

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
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世界を揺さぶる韓国の政治動向

 
 今後は、韓国が政治の改革を進められるかどうかが重要だ。今回の政治スキャンダルの根底には、韓国の大統領の権限が強すぎることがある。そのため、財閥企業を中心に大統領、その側近や親族に取り入り、庇護や経営に有利な条件を引き出そうとする考えが生まれてきた。この結果、財閥企業と政権中枢の癒着が続き、政治と財閥企業の経営は、持ちつ持たれつの関係になった。景気の落ち込みなどを受けて内需刺激策が打ち出されることがあっても、多くが“バラマキ”に終始した。反対に、中長期の視点で構造改革を進め、潜在成長率を引き上げる議論は進んでこなかった。

 こうした政治が続いた結果、経済格差が拡大した。財閥企業の創業者一族などに富が偏在し、多くの国民は経済成長を実感できない状況が続いてきた。民衆の不満をそらすために、近年の韓国政府は中国にすり寄り、消費需要を取り込もうとした。他方、中国にとっての韓国は、北朝鮮の暴走を抑えるためには重要な存在だろう。それは、ミサイル防衛システムをめぐる中国の対応を見れば明らかだ。

 そして、韓国は事あるごとに反日姿勢をとってきた。15年12月、日韓両国は慰安婦問題に関する“最終的かつ不可逆的な解決”に合意した。しかし、次期大統領の座を目指す有力候補者らは合意を反故にすべきと主張し、それが支持を集めている。韓国社会全体が、自国の置かれた状況、取り組むべき課題を冷静に認識できているとはいいがたい。

 韓国は、米国との関係を基礎に北朝鮮への抑止力を確保し、民主主義の基盤を整える必要がある。それが、財閥企業による経済の寡占を是正し、公正な競争環境を整備することを可能にするだろう。そのなかでは、わが国との経済協力も不可欠だ。それができないと、韓国の政治は目先の民衆の不満を解消するために場当たり的な政策を進め、一段と不安定な状況に直面するかもしれない。わが国はそうした展開を見越して、米国を中心とする安全保障の強化を基礎に、アジア各国との関係強化を進めていく必要がある。
(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)

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