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安倍首相、過労死基準の100時間まで残業OKのトンデモ法案…逆に違法な闇残業蔓延も

文=深笛義也/ライター
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 では、これまでと比べれば進歩したと受け止めてもいいのだろうか?

「ただし、過労死の撲滅まではいかないと思いますね。脳・心臓疾患を労働災害と認定する際に、残業1カ月100時間超や2カ月平均80時間超の人は関連性が高い、という基準があるんです。今回の上限は、そのギリギリの数字ですから。『これをフルに使おう』ということで、『法律で決まったんだから、年間720時間までは残業すべきだ』と言い出す悪質な経営者も出てくると思います。

 また、今回の決定は導入から5年後に過労死の状況を見て見直すということになっていますが、過労死した人の数によって変えるという話なのか、よく意味がわからないですね。

 また、上限が決められると、家に持ち帰ったり朝早く来たりして仕事をする、会社外のカフェでミーティングをするなどの“闇残業”が増える可能性もあります。これはサービス残業になって残業代も出ないため、働くほうにすれば二重の打撃になりますね。会社にそういったことを強いられるようであれば、そうした残業時間も記録しておくなどの自衛手段をとることも必要です。そうした残業によって上限を超えているようなら、今後は労働基準監督署も摘発に動きやすくはなると思います」(同)

ダラダラ体質の会社員は駆逐される時代に?

 日本の企業は長時間労働が常態化している一方で、時間当たりの生産性が低いともいわれている。

「ノー残業デイ、定時退社のすすめ、『何時には消灯する』といった枠組みの話だけではなく、部署や職場の単位で、どの会議が無駄なのか、どの業務が無駄なのを検証して効率化を図っていかないと、残業は減らせないでしょう。

 日本の企業にとっては、今までのダラダラと徹夜しようが何しようが関係なかった世界から『時間かければいいって話じゃない』という未知の世界に入ることになります。限られた時間内で成果を出す人が評価されるようになるので、ダラダラ体質の会社員は駆逐される可能性もあります。

 取り組みが進んでいる会社は、今は多少景気がいいので、常時10~20人くらいを『割増退職金が出るから、どう?』と肩たたきで辞めさせています。日本の企業の人口構成を見ると、バブル時代に入社した40~50代がすごく多いんです。みんな有能であればいいのですが、仕事はできないのに高い給料をもらっていたりするわけです。そうした“常時リストラ”で人口構成をきれいなピラミッド型にしようとしている会社も多いです」(同)

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