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「村上春樹現象」という捏造された幻想…読書イベントはたった9人、語り合いなく静かに解散

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 村上春樹の新作長編小説『騎士団長殺し』(新潮社)が2月24日に発売されてから、およそ1カ月。しかし、発売の前や当日こそマスコミが取り上げたことで注目を集めたものの、今やインターネット上でもあまり話題に上らなくなっている。

 芸能人や著名人による評価やレビュー記事も少なく、絶賛する声もなければ酷評もあまりない。これは『1Q84』(同)や『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)では見られなかったことだ。確かに、各ベストセラーランキングでは上位に入っているが、「村上春樹現象」と呼ばれた過去の長編小説と比べると、話題性、注目度ともに明らかに見劣りする。

 なぜ、村上春樹の4年ぶりの新作長編がここまで話題にならないのか。「ハルキスト」と呼ばれる村上の熱狂的ファンは、どこに消えてしまったのか。筆者は2月24日0時の『騎士団長殺し』の発売直後に行われた読書イベントに潜入した。そこで目撃したのは、「村上春樹現象」や「ハルキスト」の本当の姿だった。

取材のマスコミより少ないハルキストたち


 筆者が参加したのは、三省堂書店神保町本店で開催された「誰よりも早く村上春樹さんの新刊を本屋で徹夜して読む会」。その名の通り、深夜に発売されたばかりの『騎士団長殺し』を同店で購入し、そのまま店内の専用スペースで6時まで徹夜で読み続けるというイベントだ。

 23時40分ごろに書店に着くと、入り口にある「三省堂書店」の赤い文字が黒字に白抜きの「村上春樹堂」にあらためられていて、フロアにはテレビ局のスタッフやカメラマン、記者などが陣取り、取材の準備を進めていた。本を買いにきたハルキストと思われる一般客は10人に満たず、所在なげにたたずんでいる。

村上春樹『騎士団長殺し』発売当日の三省堂書店神保町本店

店内の様子
 0時数分前になると、ようやく人が増え始め、フロアには50人ほどのハルキストと思われる客たち。すると、客たちはカウントダウンのために黒い布で覆われて山積みされた『騎士団長殺し』の周囲に集合させられ、なぜかテレビ局のスタッフが「もっと前のほうに行ってください」と指示してくる。
黒い布で覆われた『騎士団長殺し』
 そして、0時が近づくと、集まった客たち全員で「10、9、8、7……」とカウントダウンを始めた。「6、5、4……」。客同士の秒読みが微妙にずれる寒い雰囲気のなかで、いよいよ時計の針が0時を指し、三省堂書店のスタッフの「村上春樹さん『騎士団長殺し』発売のお時間でございます!」という仰々しい声が店内に響いた。


 黒い布が取り払われると、現れたのは約2mの高さの『騎士団長殺し』の平積み、通称「ハルキタワー」だ。客たちが次々に新刊を手に取ってレジに向かい、その様子を撮影するカメラのフラッシュによって、ようやく発売イベントらしい盛り上がりを見せた。

『騎士団長殺し』が積まれた「ハルキタワー」
 しかし、この瞬間がイベントのピークだった。ハルキストと思われる客たちは会計を済ませると次々に帰っていってしまい、残されたのは10人にも満たない「徹夜して読む会」の参加者たち。イベントを取材するマスコミのほうが、はるかに人数は多かったのである。

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