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経済学者が考える「運」の大切さと、「運」をコントロールできる環境づくり

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 例えば前者においては、イタロ・カルヴィーノの小説『パロマー』を引き合いに出し、他者からの称賛や好意が、成功の可能性を高めると指摘している。

――まわりから称賛されたり好意を寄せられたりする人は、ただ幸せを感じられるだけはない。成功する可能性も高くなるのだ。理由のひとつは、経済的に大きな成功のほとんどがチームの取り組みによるものだからである。
(中略)
 才能や一生懸命に働こうとする意志はチームの一員としてプラスの資質であり、すぐれたメンバーには必ず備わっている。だが、それだけでは足りない。チームの成功には、仲間への信頼――たとえ人に見られていなくても、個人よりチームの利益を優先するだろうという信用――が必要である。
(『成功する人は偶然を味方にする』P183より引用)

 結果を出し、成功できるチームにいることが、自分の成功につながる。いくら才能が豊かでも、チームそのものがイケてなければ成功はできない。

 ただ、成功できるチームに入るのは容易ではない。あなたが周囲から魅力的な人間だと思われていないとスカウトすらされないだろう。

 では、他者からの評価を上げるにはどうすればいいのか?

 フランク氏は「はっきり言うのは難しい」とした上で、「自分の成果に対して過大な名誉を求める人は魅力的ではないのでは」と指摘する。

 自分の成果は実力によるものだけではなく、すこし幸運だったことにあると認め、感謝する。これは日本語の「謙虚さ」に通じるものがある。

 もう一つ、後者の政策的な側面については。公共投資」が人々に成功のチャンスを与えるという考えの元に自論を展開している。たしかに生まれ育った環境そのものが成功を左右するのであれば、元の水準を上げることは成功者を多くする大きな近道である。

 成功は社会のあり方にも大きく作用されるということだ。

 ともあれ私たちは、幸運なのかもしれない。本書の冒頭にオルダス・ハクスリーの「5番目の哲学者の詩」という詩が引用されている。

――何十億という精子はすべて生きている。その大洪水のなか、ひとり粗末なノアだけが、生き残った。

 こう考えれば、私たちが生まれたのも幸運だったということだ。その幸運を人生で感じるために、何ができるのか考える義務があるのではないだろうか。

(新刊JP編集部/金井元貴)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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