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苦戦続く『直虎』が「月9」批判に神回で倍返し、ヒット要素てんこ盛りで反撃開始か?

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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苦戦続く『直虎』が「月9」批判に神回で倍返し、ヒット要素てんこ盛りで反撃開始か?の画像1『おんな城主 直虎』公式サイトより

 柴咲コウが主演するNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の第14回が4月9日に放送され、平均視聴率は前回(13.1%)から微減の12.9%(ともに関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 今回は、借金から逃れるために徳政令を出してほしい村人たちと、井伊家と村のために徳政令だけは避けたい井伊直虎(柴咲)の衝突が描かれた。話の題材としてはスケールも小さく地味ではあったが、これがどうしてめったやたらとおもしろく、このドラマ始まって以来と言っても過言ではない「神回」となった。その、おもしろさの要素を表すキーワードとして、『半沢直樹』『タイムスクープハンター』『少年マンガ』の3つを挙げたい。

 まず、『半沢直樹』。言うまでもなく、不条理な圧力や嫌がらせに見舞われる主人公が知略を尽くして最後に逆転し、悪者をギャフンと言わせる痛快な展開で国民的な人気を博したドラマだ。

 今回直虎は、今川家から出された「(井伊家が治める)2つの村に徳政令を出せ」との下知に、当の今川家が作った分国法「仮名目録」で立ち向かう。守護は寺領に手出ししないと書かれた条文を盾に、「村の土地は寺に寄進したから、徳政令は出せない」と回答したのだ。弱小の小領主が圧倒的な力を誇る大名を知略でやり込める構図は、まさに半沢直樹そのもの。今川家にとっては揚げ足を取られたようなものだが、視聴者にとっては溜飲の下がる思いである。

 次に、『タイムスクープハンター』。過去の時代に派遣された時空ジャーナリストが、教科書に載らないような対象を調査するという設定で、時代劇や大河ドラマでは描かれないような人々や事象、風習などにスポットを当てたNHKの番組だ。

 今回の『直虎』は、この番組を思わせる内容だった。スポットが当たったのは、戦国期のリアルな領民の姿。特に、領民たちによるストライキ「逃散(ちょうさん)」をストーリー上の軸になる出来事として描くことにより、戦国期の領主と領民の関係性までも描き出した。

 大河ドラマでは長年、一部の例外を除いて英雄譚が描かれる傾向にあったが、昨年の『真田丸』で「国衆」と呼ばれる小領主の戦国サバイバルにスポットが当てられた。『直虎』も基本的には同じ題材を扱っているが、描かれる内容がよりリアルになり、領内の統治に四苦八苦する領主の姿までが描かれる。国衆は、他国と戦って勝つより、まずは自国の統治を安定させなければならないのだ。これは今までになかった視点であり、見ようによってはかなりおもしろい。

 3つ目のポイントは『少年マンガ』。村のために率先して行動する直虎の姿を見て、ストライキに及んだ領民たちとそれまで直虎を認めなかった家臣は心を入れ替え、直虎に心酔するようになった。敵がどんどん仲間になっていくのは、まさに少年マンガにはおなじみの展開である。主人公のピンチに昔の仲間(いつも仕事を手伝ってあげた領民たち)が駆けつけるという展開も少年マンガの王道。わかっていてもおもしろく、ついつい感動してしまう。

 1つの回にこれだけの要素を詰め込み、さらに「竜宮小僧の実体化」「亀之丞が亀になって帰ってきた」「小野政次(高橋一生)の真意が垣間見えるシーン」などのネタもぶっ込んできた脚本は見事というほかない。「女が主人公だからダメ」「月9みたいな展開だから、大河ドラマとしてふさわしくない」といったステレオタイプのダメ出しに終始してこのドラマのおもしろさがわからない人は、率直に言ってかなり損をしていると言えよう。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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