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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

【朝鮮半島危機】有事なら約6万人の在韓邦人の安全確保に懸念、日韓政府の対策未確立

文=渡邉哲也/経済評論家
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李承晩ラインは慰安婦や在日問題に関連も

 その李承晩ラインは、65年に「日韓基本条約」が締結されて国交が回復すると同時に「日韓漁業協定」が成立したことで廃止された。それまでの13年間で、日本が韓国から受けた被害として、漁民などの抑留者3929人、拿捕された船舶328隻、死傷者44人とされている。韓国は、竹島を強奪して民間人に被害を与えた上、日韓基本条約を結ばせたわけだ。

 日韓基本条約と同時に、従軍慰安婦問題に関する「日韓請求権並びに経済協力協定」や、在日韓国人の法的地位に関する「日韓法的地位協定」が結ばれている。前者において、日本は韓国に残した資産の所有権をすべて放棄し、さらに最終的に総額8億ドルの経済援助を行っている。これは、当時の韓国の国家予算の2.3倍という巨額だ。後者では、韓国籍申請者に「協定永住」資格が与えられ、日本への永住が法的に保証された。

 韓国は、現在も竹島に警備隊員を常駐させており、宿舎や監視所などの施設を構築しているが、これは不法占拠であり、そもそも李承晩ラインの設定自体が違法行為である。これは、外務省のウェブサイトにも明記されている事実だ【※1】。

 こういった歴史に鑑みても、有事の際に韓国が日本人の安全を確保したり避難を支援したりするかどうかはまったくの不明であるどころか、逆に利用される可能性すら否定できない。また、北朝鮮にとっても、在韓日本人は交渉のカードになり得るため、非常に価値の高い存在となる。北朝鮮情勢が予断を許さない状況だけに、しばらくは慎重な行動が求められるのではないだろうか。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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