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カネボウ、白斑問題「美白」で新商品?書類捏造を追求しないメディアと厚労省の後ろめたさ

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カネボウ、白斑問題「美白」で新商品?書類捏造を追求しないメディアと厚労省の後ろめたさの画像1「カネボウ化粧品 HP」上の「お詫びと自主回収についてのお知らせ」

「どうかしているとしか思えない。被害者が1万5000人にも上る事故を起こしたら、しばらくはじっとしているものでしょう。賠償請求も始っているこのタイミングで新商品投入とは……。あの会社はよっぽど消費者をなめているのか、本当におかしくなってしまったのではないでしょうか」

 こう話すのは、某化粧品メーカー幹部。彼らが問題視する“あの会社”とは、白斑問題で世間を騒がせているカネボウ化粧品のことだ。

 同社の美白化粧品の中に含まれているロドデノールによって、顔や手に白斑ができてしまったという被害が発覚し、同成分が使われている54商品をすべて自主回収することを発表したのは7月。それから3カ月が過ぎ、被害者はうなぎ上りに増え、現在1万5000人を超えている。

 そうした中で、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)のスクープによって、カネボウが新しい美白化粧品を11月に発売するよう検討していたことが発覚。もちろんロドデノールは使わないものの、「美白」によってこれだけ苦しんでいる被害者がいる中で、あまりにも非常識だということで、発売を見送ったのである。

 54製品にもおよぶ自主回収の費用は50億円以上。さらに、カネボウは被害者への治療費を全額負担すると表明しており、どれだけの損失が計上されるかは測り知れない。
「賠償だ、責任だ」と言っても、当の会社がつぶれてしまってはしょうがない。だから、謝罪するかたわらで利益を稼いでいかなければならないというのはわかる。とはいえ、わざわざ現在進行形で被害者が増えている美白化粧品で稼ごうというセンスに、競合他社は得体の知れない恐怖すら感じている。

●競合他社から疑問の声も

 それは、カネボウに手を差し伸べ、親会社となった花王も同じようだ。

「白斑被害は以前から消費者から訴えられていたのに、それが現場の判断で握りつぶされていた。第三者調査では“病気だという思い込みがあった”ということだが、素直にそれを受け止めていいものか。5月に医師からの訴えで問題が発覚してからも、花王から出向している夏坂真澄社長には情報がろくにあげられてない。問題の根は想像以上に深いのではないか」(花王関係者)

 前出の化粧品メーカー幹部も「美白化粧品を使っているお客様の肌がまだらになっているにもかかわらず、それをメーカー側が独断で尋常性白斑などという病気などと決めつけ、なおかつ上に報告をしないなどありえない」と断言する。

 たしかに、白斑被害者の声が寄せられた先は、「価値創成研究所」や「品質統括グループ」。つまり、カネボウ化粧品の研究開発部門や品質管理を担うグループである。自分たちが苦労して生み出した製品に対して、ネガティブな情報がくれば、握りつぶそうとするのは人の性。それは「病気だという思い込み」ではなく、「病気として処理してしまえ」という“悪意”があった、と考えるのが筋ではないだろうか。

●追求されないカネボウの“悪意”

 “悪意”といえばもうひとつ気になる問題もある。今回カネボウがロドデノールを生成するために使っていたラズベリーケトンという成分があるのだが、実は過去に白斑被害を引き起こしており、その被害状況を報告する論文も存在している。

 ロドデノールは、新規医薬部外品の美白有効成分として08年に承認されている。この時に、くだんのラズベリーケトン被害についての論文も資料として提出されているのだが、その際、カネボウが論文の一部を捏造したのではないか、という疑惑を9月2日放送の『クローズアップ現代』(NHK)が報じているのだ。危ないといわれ、論文まで出ているものを美白成分として申請する。そんなものを通す厚労省にも問題はあるが、どう考えても“悪意”を感じないか。

 だが、この『クローズアップ現代』が報じた事実を、他社が後追いをすることはなかった。そこには、「花王の影響力がある」とキー局記者が言う。

「白斑問題による花王への被害は100億円ともいわれている。企業が苦しくなればまず切るのが広告費。今はどこのテレビ局も苦しい。大のお得意様である花王をこれ以上追い込んだら、その刀がすべて自分たちに返ってくる。公共放送局のNHKさんくらいしかできませんよ」

 さらに、業界紙記者によれば、監督官庁も及び腰の様子だ。

「カネボウがロドデノールの承認を受けた際の薬事・食品衛生審議会のメンバーの中にいた消費者庁幹部などに責任が飛び火することを恐れている。厚労省、消費者庁ともにこの問題について“そもそも”というところまで遡ってほしくない」

 要するに、官僚側にも後ろ暗いところがあるというわけだ。

BusinessJournal編集部

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