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日本郵政、巨額減損発生でノウハウなき海外進出頓挫か…西室前会長の独断的買収が危機招く

文=編集部
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 海外の機関投資家が「成長性なし」とみなす郵便事業で、成長性があるところを見せるために、日本郵政は上場する9カ月前にトールを買収した。国際的な物流企業へ変身するという、郵便事業の成長戦略を具体的にアピールするためのM&Aだった。しかし、日本郵便に国際事業を積極的に展開するための人材もノウハウもなく、トールの買収は上場に向けて厚化粧を施したにすぎなかった。

 西室氏が3社同時上場を強行したのは、株式の売却益をできるだけ多くしたいという安倍政権の意向に沿うためだ。親会社の日本郵政の上場だけでは、東日本大震災の復興財源を確保できなかったからといわれている。

 日本郵政グループは、郵政民営化に始まり、上場までもが政府主導で決まった。上場のために社長に迎えられた西室氏にとっては一世一代の大舞台で、何がなんでも成功させなければならなかった。4月25日の記者会見で同席した日本郵便の横山邦男社長は「M&Aを急ぎすぎて高値になった」と話し、日本郵政の長門正貢社長は「楽観的すぎたという批判を否定するのは難しい」と述べ、トールが“高値づかみ”だったことを事実上、認めた。

 日本郵政がIPOするに当たって、「PBR(株価純資産倍率)で、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、三菱UFJフィナンシャル・グループより割安で配当も高い」とうたい、幹事証券会社が、退職した小金持ちの個人投資家などに日本郵政グループの株式を買わせたのが実情だ。

 しかし、将来性が見込めないトールに6200億円という巨費を投じた結果、トールは日本郵政の「負の遺産」と化してしまった。長門氏は「過去のレガシーコスト(負の遺産)を一気に断ち切る」とした。

 長門氏がトールの買収が失敗だったと認める格好で巨額減損に踏み切ったのは、日本郵政株式の追加売り出しが7月以降に実施されることが決まったからだ。追加の売却をスムーズに行うために、懸案だった“トール処分”を断行する。トールの巨額の減損処理も、政府主導の側面が強い。

トールをウエスチングハウスと同一視か

 4月22日付朝日新聞記事『日本郵政 見誤った買収』では、こう論じている。

「16年初めの日本郵政の経営会議。トールの現状について『かろうじて黒字』などと報告されたのに対し、社外取締役から『日本郵政にとって意味があるから買ったのでは』『いくら儲かり、いくら損して、これからいくら負担しなければならないのか、数字で示してくれ』などの懸念が出た。

BusinessJournal編集部

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