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「集めた資金でただの世界一周旅行」と大炎上…クラウドファンディングの理想と現実

文=森江利子/清談社

大炎上した女子大生の世界一周プロジェクト

 CFに対する誤解の典型的な事例を紹介しよう。15年、「スケッチブックを持って世界一周し、発展途上国の子供たちに夢を描いてもらって『夢のバトン』をつなげる」というCFプロジェクトが「CAMPFIRE」で公開された。

 立案者の女子大生は、旅の費用やカメラ代などの資金をCFで集める代わりに、旅先から持ち帰ったスケッチブックのコピーをリターンに設定。しかし、この企画には「他人から集めた金で世界一周したいだけ」などと批判が殺到して大炎上、プロジェクトは中止に追い込まれた。

「プロジェクトには、出資者に対する『魅力的でお得感のあるリターン』を用意することが不可欠です。この炎上騒動の原因は、立案者がCFを『手段』ではなく『目的』と履き違えていたことが原因です」(同)

 CFサイトで公開されるプロジェクトは、各サイトが独自の“審査”を行っている。事業者の信用性はもちろん、きちんとリターンを提供できるか、プロジェクトを完遂することができるのか、といった点がポイントになるという。

 出資者はCFサイトの審査を信用するしかないが、現実には女子大生のケースのような不透明なプロジェクトも横行してしまっているのが実態だ。さらに、CFの認知度向上に伴ってCFサイトは過当競争に突入しており、その審査基準はどんどん緩くなってきているという。

「今、日本のCFは社会基盤として根付いていくかどうかの重要な時期だと思います。ここで未熟なプロジェクトが増えてしまうと、CFに対するイメージが悪くなり、参加人口も減っていってしまうという懸念があります」(同)

 実際、アメリカでは「CF詐欺」も発生しており、裁判沙汰になった例もある。とはいえ、悪質なプロジェクトに出資して約束のリターンを受け取れなかったとしても、基本的にCFサイトが責任を負うことはない。

 CFサイトは、あくまで投資の「場」を提供しているだけであり、出資には自己責任が求められる。万が一、自分が出資したプロジェクトが詐欺だったとしても、自力で解決しなくてはならないという。

 クリエイターが投資を募る方法としてはそれなりに有効なCFだが、出資する側は、それ相応の責任やリスクがあることを肝に銘じておいたほうがよさそうだ。
(文=森江利子/清談社)

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