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ゲスドラマ『あなたのことはそれほど』…ラスト5分に東出昌大が見せた「狂気の笑顔」に戦慄

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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ゲスドラマ『あなたのことはそれほど』…ラスト5分に東出昌大が見せた「狂気の笑顔」に戦慄の画像1『あなたのことはそれほど』公式サイトより

 波瑠や東出昌大らが出演するドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)の第4話が9日に放送され、平均視聴率は前回から0.4ポイントアップの9.9%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 いくえみ綾の漫画を原作とした今作は、心惹かれぬまま涼太(東出昌大)と結婚した主人公・渡辺美都(波瑠)が、中学時代に恋心を抱いていた同級生・有島光軌(鈴木伸之)と偶然再会し、不倫関係に陥っていくストーリー。これまでは、親友の忠告も聞かず有島との逢瀬に羽目を外す主人公・美都のバカっぷりと、妊娠中の妻をおいて不倫を楽しむ有島のクズっぷりばかりが際立っていたため、「気分が悪い」「もう見ない」「なぜ波瑠はこんな仕事を選んだのか」など、視聴者からさんざんな声が上がっていた。主演の波瑠もあまりの不評に黙っていられなかったのか、自身のブログで「自分が何か得をするためにこのお仕事をしてるつもりもない」と反論する異例の事態に。このため、ブログ記事の公開後、初の放送となった第4話にも視聴者の注目が集まっていたのだが――。

 結論から言うと、今回も波瑠演じる美都は存分にクズな感じを見せてくれたが、最終的にはラスト5分の東出の怪演がすべて持っていった回となった。

 今回美都が取った行動の中で最も自分勝手だったのは、「子供が熱を出して行けなくなった」とデートをドタキャンした有島に言い放った「重病じゃないなら有島君がついてたって変わらないよ」との一言。確かにそりゃそうなのだが、我が子を心配する親に向かって言うべきことではない。自分は会いたいんだから、病気の子供なんて奥さんに任せておいて会いに来いという言い草は、さすがの有島でも引いたのではないか。自分中心で周囲の人の事情や気持ちを全く考えない美都の人物像がよく表現された場面であった。

 そもそも、有島の娘は本当に熱を出していたのかという疑問もある。確かに赤ちゃんは急に熱を出したりしやすいが、第4話の中でこの言い訳が登場するのは2度目のはず。付き合っていくうちに、有島は単なる都合のいい遊び相手だったはずの美都のことがだんだん重くなってきてしまい、遠ざけようとしているのではないかとも勘ぐってしまう。陶芸教室での雑談で、美都は「趣味は息抜き」とつぶやいた。それなのに彼女は、有島が「趣味は美都」と話していた真意に気付かない。そう、美都にとって有島は運命の人だが、有島にとって美都は、家庭生活をうまくやっていくための息抜きでしかないのだ。あまりにも美都がお花畑なので、最初はあきれていた視聴者も今では「早く目を覚ませ!」「遊ばれていることに気付いて」という気持ちになっているのではないだろうか。

 ラストシーンは、美都と涼太が、美都の誕生日と2人の結婚記念日を祝うレストラン。和やかな雰囲気で乾杯し、笑顔いっぱいに談笑する光景は普通に仲の良い夫婦だ。だが、次第に雲行きが怪しくなってくる。

 両目ににじんだ涙をぬぐいながら「ただ幸せなだけ」とつぶやく涼太。「怖くて確かめてないから。小心者の“柴犬”だからさ」と続ける。「柴犬」とは、有島と美都の間では涼太のことを指す陰語だが、涼太に向かって直接「柴犬」と言った覚えのない美都は驚く。涼太は、美都の携帯をのぞき見て自分が「柴犬」と呼ばれていることを知ったが、知らなければ傷つかないからその後は見ないようにしていたと告白する。

これは、復讐なのか? 心底愛しているのか?

 目を見開いたまま、なおも笑顔で畳みかける涼太。遅く帰る前の日は機嫌がいいし、次の日は優しい。陶芸教室の仲間と出かけたという昨日の美都もきれいだった。一緒に温泉旅行に行ったと言っていた香子(大政絢)にも会って話を聞いた。いい友達だね――。

 美都の浮気を察知していたことを示しつつも、口調はあくまでも優しく、責めるわけでもなければ、浮気の決定的な証拠を突き付けるわけでもない。まさに真綿で首を絞めるかのようなじわじわとした精神的攻撃である。心に蓄えた黒いものがあふれんばかりの邪悪な笑顔をたたえながら、さらに続ける。「君が夜中に呼んだ名前の番号を僕の携帯に登録した。でもかけない。自分がどうなるのか怖い」。

 ここまで追い詰められたら、顔面蒼白になって取り乱すか、必死に謝るか、はたまたしらばっくれるか、何かしらの反応があると思うのだが、どこか他人事のような表情で聞いているだけの美都。そんな美都に、涼太は最高かつ最悪のプレゼントを贈る。「僕はこの先どうあろうと、(略)ずっと変わらず君を愛することができるよ。これが僕のプレゼントです」。かつて見せたことがないほどに優しい表情で美都に微笑みかけるのだった。

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