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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

「肺炎球菌ワクチン摂取の広告は詐欺まがい」批判は正しいのか?誤解だらけの予防接種

文=新見正則/医学博士、医師

 常識君の解説です。

「そうです。肺炎球菌ワクチンの効果は5年ぐらいといわれています。成人用肺炎球菌ワクチンは商品名をニューモバックスといいます。子供用はプレベナーです。この子供用の肺炎球菌ワクチンが大人にも有効とわかり使用が認可されたので、少々混乱が生じています。そして公的補助は一生で1回、ニューモバックスだけに適用されます」

 極論君の質問です。

予防接種の費用を惜しまないとして、最良の肺炎球菌ワクチンの接種の順番を教えてください」

 常識君の回答です。

「まだ議論があるところですが、ひとつの意見としては、まずニューモバックスを接種して、1年以上の間隔をあけてプレベナーを接種し、そして6カ月から4年以上をあけて、再びニューモバックスを接種するというものです。ニューモバックスの間隔は5年以上が推奨されています」

 極論君のコメントです。

「たまたまニューモバックスが公的補助の年齢であれば、1回は得をした感じがしますが、でも1万円前後する任意接種のワクチンを複数回接種するのですね。では、お金を節約したいときは、どの方法がベストですか?」

 常識君の解説です。

「肺炎球菌ワクチンの有効期間は5年と思っておくことが重要です。つまり、自分が肺炎になる年齢を予測するのです。65歳から年齢を増すに従って肺炎球菌による肺炎は増加します。そして人はそれぞれ元気さが違います。65歳でも病弱な人はさっさと肺炎球菌ワクチンを接種したほうがいいでしょうし、70代でも元気な人は、80歳になるまで待って肺炎球菌ワクチンを打てばいいでしょう。しかし、それは頻度の問題で肺炎球菌による肺炎になるとも限りません。ですから、公的補助だけでがんばろうとすると限界があります」

 非常識君のコメントです。

「肺炎球菌は90種類ぐらいあるそうです。そしてプレベナーは13種類、ニューモバックスは23種類にしか効果がありません。つまり、すべての肺炎球菌による肺炎を予防はできないのです。そうであれば、いっそ肺炎球菌ワクチンを接種せず、肺炎にならないような生活を心がけるという方法もありますね」

 常識君の回答です。

「任意接種ですから、すべて自己責任で決めましょう。そもそも非常識君が憤慨していた肺炎球菌ワクチンの広告は、確かに誤解を生じる可能性もあります。一生に1回のみ公的補助が使えるということを知らない医師もいるそうです。しかし、その公的補助もいつまで続くかわかりませんから、今のうちに接種を公的補助で勧めるお手紙が来たら、5年後や10年後を待たずに打つというのも間違ってはいないと思います」

 非常識君の爆弾発言から、議論は盛り上がりました。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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