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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

42年間ずっと客殺到の原宿「極上の喫茶店」…「特等席」カウンターから見える珠玉の光景とは

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

 たとえば店のコンセプトは、「女性客を意識した、フランスの片田舎の一軒家の内装」だ。原宿店はビルの地下にあるが、ビル外壁には蔦が生えており、「これからの季節は蔦が伸びて風情が出る」(林氏)という。店内に入ると、焦げ茶色の色調で落ち着いた空間だ。同氏が建築デザイナーの松樹新平氏に依頼して造った空間は、開業当時「フレンチスタイル」として評判となり、多くの店に影響を与えた。当時の店は若い女性客で行列となったという。今回も訪問時は満席で、少し時間を置いてから入店した。

 看板商品のコーヒーは、ネル(布)ドリップを用い、深煎りで淹れるのも変わらない。飲んでみると濃厚で、苦みとコクのバランスがよい味だ。チーズケーキも人気だという。別の有名店の経営者が「コーヒーとスイーツを一緒に口にすると、違う味が楽しめる」と語ったことも思い出した。

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 また、「コーヒー専門店でカウンターがある店は、そこが特等席」や「コーヒーは舌ではなく、頭で味わう」ともいわれる。その理由は、マスターやバリスタの所作も楽しめるからだ。アンセーニュダングルでは、コーヒーの種類によっては、その場でコーヒー豆を挽いてから淹れる。カウンター席なら、真ん中だけに注ぐお湯も注視できる。

「周囲ではなく中央に注ぐ理由は、雑味だけを残して、おいしく抽出されたものだけが下に落ちていくからです」(林氏)

 林氏はカウンターでの所作にもこだわり、ここからの景色が好きだという。

「ほかの店員にも『カウンターでは正統派バーのカウンターマンのように振る舞いなさい』と伝えています。しかし、それはパフォーマンスのためではありません。私はお客さまに正面から向き合うのではなく、少し斜めの姿勢で立ちます。そうすると視野も広がり、カウンターからの死角の場所に座られたお客さんの様子もわかるからです」(同)

「本物」や「本質」がわかる人が少なくなった

 この店では、コーヒーカップもソーサーも「ロイヤル コペンハーゲン」「ベルナルド」「リチャードジノリ」などの一流品を使う。これも林氏の信念だ。

「わざわざお越しいただいたお客さまですから、おもてなしの意味を込めています。自宅でも来客には、その家にある高級なカップでもてなすのと同じです」(同)

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高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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