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成馬零一「ドラマ探訪記」

連ドラ『リバース』は類いまれな傑作である…怪演の武田鉄矢と藤原竜也は新たな境地へ

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金曜ドラマ『リバース』|TBSテレビ」より
「読んでから見るか、見てから読むか」


 1970~80年代に『犬神家の一族』などの角川書店の小説を映画化した角川映画が打ち出していたキャッチコピーだが、現在、この言葉がもっとも似合うのは湊かなえのミステリー小説だろう。

 2010年に中島哲也監督で映画化された『告白』(東宝)の大ヒット以降、映画化、ドラマ化にひっぱりだこの湊かなえ作品だが、彼女の小説は映像化と相性がよく、傑作が多い。

 現在、TBS系の金曜22時から放送されている『リバース』も、見応えのあるドラマに仕上がっている。

 物語の主人公は、藤原竜也が演じる深瀬和久。事務機器メーカーの営業として働く冴えない青年だ。

 ある日、そんな深瀬に越智美穂子(戸田恵梨香)という彼女ができて、ささやかな幸せを手に入れる。しかし、アパートの扉に「人殺し」と書かれた紙が貼られたことがきっかけで自体は一変。

 深瀬は、10年前に自動車事故で命を落とした親友・広沢由樹(小池徹平)の死と向き合うことになる。

 小説版では、深瀬が広沢の過去の交友関係をたどるうちに意外な真相にたどり着くという、湊かなえ作品にしては珍しく視点が統一された小説となっている。

 対してドラマ版は、広沢の友人だった深瀬和久、浅見康介(玉森裕太)、村井隆明(三浦貴大)、谷原康生(市原隼人)の4人の青年たちの人物造形が細かく描かれていて、谷原の命が狙われたことがきっかけとなり、広沢の死は本当に事故だったのか? この4人のうちの誰かが事故に見せかけて殺したのではないか? 彼らを狙う犯人は誰か? という謎解きにからんだ濃厚な人間ドラマが展開されている。

 また、小説には登場しない武田鉄矢が演じる元刑事のジャーナリスト・小笠原俊雄が広沢の死を追っていて、深瀬を別の角度から追い詰めていく。

 浅見の勤める高校で起きたサッカー部員の飲食事件をめぐる騒動など、オリジナルエピソードが多数盛り込まれているが、小説の根底にある「過去に犯した罪とどう向き合うのか?」というテーマをしっかりと押さえているため、違和感はない。

 むしろ、ドラマ版のほうが湊かなえらしい禍々しい世界を描いているように見えるのが、本作のおもしろいところだろう。

湊かなえ作品にマッチする藤原竜也の演技


『時をかける少女』(角川ヘラルド映画)や『おおかみこどもの雨と雪』(東宝)といった細田守のアニメ映画の脚本で知られる奥寺佐渡子の脚色は、実に巧みだ。

 かつて手掛けた湊かなえ原作の『Nのために』(TBS系)同様、原作小説のエピソードに寄り添った上で、個々のキャラクターの魅力が際立った若者たちの群像劇に仕上がっている。

 小説や漫画などの原作モノを映像化すると、どうしても賛否が生まれやすいのだが、奥寺たちが手がける湊かなえ原作モノは毎回うまくいっている。これは、そもそも湊かなえの小説がシナリオのようなつくりとなっているからだろう。

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