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任俠団体山口組・織田絆誠代表の生き様を考察…ケンカは超一流、性根は「生粋の極道」

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 業界関係者の誰しもが、山口組を割るということが不可能であると理解していた。それは歴史を紐解かなくとも明らかであった。全国区の山口組直参の親分衆の中でさえ、体制に不満を持ちつつも、山口組を割って出ることなどできずに、この世界から去った人たちは少なくはない。武力、経済力において隆盛を極めた後藤忠政元組長(元六代目山口組舎弟後藤組組長)でさえ、数々の親分衆から要望を受けながらも、志叶わず、その身を引いているのだ。
 
 それらをすべて承知の上で、六代目山口組体制を批判した親分衆らが立ち上がり、絶対といわれる「盃の存在」を超える大義を説き、神戸山口組を築き上げたのが、一昨年以降の「山口組の分裂」である。
 
 その現場の最前線で、六代目山口組という巨大な組織に立ち向かい、敵方にさえ「戦上手」と言わしめたのが織田代表であった。その織田代表が心酔し仕えていたのが、神戸山口組井上邦雄組長のはずだった。だからこそ、4月30日に任俠団体山口組が神戸山口組を割って出ても、いまだ警察当局は偽装離脱説を捨てきらないのである。
 
 だが、筆者が知り得る限りでいえば、偽装離脱はあり得ない。“芝居”にしては考えられない事件も発生し、逮捕者まで出ていることや、任俠団体山口組がメディアを通じて表明した内容、そして現在の構図……どれを取ってみても、織田絆誠代表が一世一代の芝居を演じているとは考えられないのだ。
 
 外から山口組を糺(ただ)して、もう一度組織をひとつにすると考える織田代表と、分裂後、すぐに盤石の体制を築き上げ、六代目体制との合流を考える必要がなくなった神戸山口組との間で方向性の違いが生じてしまったのではないだろうか。その「ズレ」は、やがて井上邦雄組長と織田絆誠代表の間で軋轢へと変節を遂げ、再分裂にまで発展していったと思えてならない。
 

名は織田信長から取ったとも

 織田代表の性である「織田」は渡世名である。一説には織田信長の織田から取ったのではないかと言われているが、その真相はわからない。
 
 だが、仮にそうであったとしても、織田代表の生き様は天下人にも劣ってはいない。頂点に登りつめる野心と私利私欲は同義語であるかのように思われがちであるが、実はまったく異なる。極道というのは、俠の生き様である。 
 
 誰しもきれいごとだけで名声を得られるものなら、それを得て暮らしたいはずだ。だが、現実ではそんなことはあり得ない。それがヤクザ社会なのである。
 
 神戸山口組が織田絆誠代表を失った影響は少なくないだろう。だからといって神戸山口組、そして四代目山健組には、織田代表に決して劣ることのない一騎当千の実力者が存在する。この先、仮に六代目山口組との対立が激化したとしても、一歩も引くことはないだろうし、虚勢にまわることもないはずだ。それは六代目山口組もまたしかりである。
 
 そんな中での再分裂報道は、混沌そのものだ。
 
 織田代表は再分裂後、「週刊現代」(講談社)で作家の溝口敦氏のインタビューに答え、同氏はその感想として、「新しい時代の到来を予感させた」と記している。一方、取材力に定評がある「週刊文春」(文藝春秋)では、織田代表が分裂直後、井上組長に「五代目を譲ってほしい」と申し出て一喝された、と書かれている。どちらが本当なのか、筆者などにはとうてい想像もつかない。
 
 織田代表の知人は一昨年、ある記者に対して誇らしげにこう話している。
 
「織田さんは、同窓会なんかでもみんなの分を支払ってくれていた。それは3次会、4次会になっても変わらない」
 
 今回の織田代表の離脱、新組織結成の本当の目的や、それが正しいことなのかどうかは判別つかない。だが、学生時代の同級生や不良グループ仲間にとっては、いつまでたっても織田代表は英雄なのだろう。織田代表に奢られたことが誇りなのだ。それは織田代表の生粋の若い衆にとってもそうなのではないか。そこには、是と非では割り切れない、俠としての魅力と生き様が交錯している。
 
 8年前の大阪刑務所。一塁側から帰っていく織田代表は、著者が配役されていた、三塁側に位置する工場の山健組系の懲役囚たちに右手を軽く上げて、グランドを後にした。その姿がいつまでも脳裏に焼きついて離れない。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。去年10月、初単行本『生野が生んだスーパースター 文政』(サイゾー)を刊行。山口組分裂騒動の詳細を記録した『菱のカーテンの向こう側~2015-2016山口組分裂全記録』(同)にも執筆協力している。5月19日には、大阪「ロフトワンWEST」でトークライブを開催する。http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/63487

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