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『貴族探偵』、嵐・相葉が「端役」生瀬に食われ透明人間状態…月9史上最低視聴率が目前

文=西聡美/ライター
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鼻形刑事の活躍

 お笑いパート担当である使用人が不在のなか、その代わりに炸裂したのが鼻形刑事と常見慎吾(岡山天音)。今回はこの2人の漫才を見せてもらっているようだった。これまで、“ちょっとだけ出るから面白い”感じだった2人が、がっつり出ても面白いことを証明してくれた。久々にドラマを見て声を出して笑ったような気がする。

 泣かせるよりも笑わせることが難しいといわれる演技の世界。確かに、笑わせることができる俳優は息が長い。「寅さん」も「浜ちゃん」も、笑わせて、愛されて、国民的キャラクターになった。鼻形刑事は国民的キャラクターを狙っていないだろうが、完全に笑いを狙っているのに、狙い通りにちゃんと笑わせるからすごい。もう、相葉は完全に食われてしまい、存在感ゼロの透明人間状態だ。

 生瀬は鼻形のようなキャラクターを求められることが多いので、飽きられてしまうリスクを背負いながらやりきるところがさらにすごい。岡山天音も難しい役割をちゃんと担っている。常見のポジションは本当に難しいと思う。下手すると生瀬の演技まで崩してしまう危険性があるが、作品の邪魔をせず、笑いを取りながら、鼻形刑事を引き立てる演技をやりきっている。

 2人の演技を見て考えさせられた。笑いを取りにいって失敗する演技と、本当に笑わせてくれる演技のどこに違いがあるのか。

 個人的な見解だが、生瀬や岡山は「笑わせる」ことを第一の目的にしていないから成功しているような気がする。「笑い」は副産物で、鼻形という人物の思考・行動・性格を徹底的に考えて「鼻形ってこういう人ですよ」と真面目に演じているだけなのではないか。常見も同様である。「笑わせたい」という思惑を、一度完全に捨て去れるかどうかが分かれ道のような気がした。

 皐月に恋した鼻形が、来週どんな行動に出るのか、後半戦がますます楽しみだ。
(文=西聡美/ライター)

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