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出光興産と昭和シェル、合併頓挫が濃厚…JXTG一強時代の幕開けか

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出光興産・月岡隆社長(ロイター/アフロ)

 出光興産昭和シェル石油が石油の精製や物流などで協業を進めると9日、発表した。両社は合併することで合意しているが、出光の大株主である創業家による反対で実現していない。合併に先立ち、業務提携を先行させて収益改善につなげる狙いだが、関係者の間からは「合併はほぼ絶望的では」との声も漏れてくる。

突然の会見は単なる提携強化のお知らせ


「一体、何を発表するのかと思いましたよ」と語るのは経済部記者だ。5月9日午前に出光と昭シェルが午後2時半から急きょ会見すると時事通信社が報じたからだ。

 両社は15年11月に合併で基本合意したが、16年6月の出光の定時株主総会で33.92%の株式を持つ創業家が合併反対を表明。17年4月の予定だった合併を延期した。出光は昨年12月に昭シェル株約31%を取得。合併実現に向けた手続きでは前進したが、創業家の姿勢は一向に軟化しなかった。

 そうしたなかでの会見だったので創業家との関係に変化があったのかと思いきや、蓋を開けてみれば、単なる業務提携の強化だったため、会見は終始しらけモードだったという。

 会見では、製油所の相互利用や共同配送など物流などでの業務提携で計250億円の収益改善効果を見込むと強調していたが、これは3月末に日本経済新聞にリークした内容とほぼ同じ。出席した記者はこう切り捨てる。

「4月にJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が統合してJXTGホールディングスが発足。市場シェア5割を超えるガリバーの誕生を前に、出光・昭シェル連合も『合併に向けてがんばっています』と市場へ必死にアピールしたにすぎず、中身はゼロ」

必死の前向きアピールも「中身はゼロ」で長期戦へ


 合併への自信も揺らいできた印象が強い。昨年までは「合併まで2~3年もかけられない」と豪語していたのが一変、「一定の時間はかかる」と長期戦を覚悟するようなコメントも聞かれた。

 創業家は出光昭介名誉会長が昭シェル株を取得して合併阻止に動くなど、徹底抗戦の構えをみせていた。今年2月には代理人弁護士の元国会議員、浜田卓二郎氏を解任した。

「解任の理由は、浜田氏が豊富な人脈を生かして、会社側との対話を模索したためだといわれています。後任の鶴間洋平弁護士は、創業家の知人という理由で選ばれただけで、大手弁護士事務所に所属したような経歴もない。むしろ、目立った実績がないゆえに選ばれたのではないか。実際に会社側とは没交渉になりつつある」(金融筋)

 出光と昭シェルは協業を進めて、合併を既成事実化し、世論の後押しを得たい考えだろうが、内なる戦いに力を注ぐ間にJXTG一強体制はより強固なものになっていく。
(文=編集部)

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