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小林敬幸「ビジネスのホント」

初めて関西に住む人のための「関西サバイバル講座」…これをやったら生存不可のNG言動集

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「Thinkstock」より

「ええかっこしい」は「アホ」の下


 4月から初めて関西に住んだり、関西文化の強い企業に入ったりで、独特の文化への適応に四苦八苦している方も多いかもしれない。私は、関西に転勤する方にいつも「ええかっこしいは、アホの下」と、サバイバルアドバイスしている。関西で生きていくには、「アホ」と呼ばれるように生き、「ええかっこしい」(自分を立派に見せようとする人)と決して言われないように日頃の態度を律しなければならない。

 関西人に、「小林さんて、どんな人ですか」と聞いたとする。関西人が「小林か、あいつ、アホな奴や」とにっこり笑って答えた時の本当の意味は、「人間的魅力があるので、付き合うといいよ」である。一方、「小林か、あいつ、ええかっこしいや」と答えた時の意味は、「付き合わないほうがいい。口もきくな」という意味である。

『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』(小林敬幸/KADOKAWA/角川書店
 実際、関西では「アホな奴」というのは、かなりの肯定的なニュアンスが含まれる。場合により、ほとんど同じ意味で使われる「おもろい奴」となると、もう明確に関西社会では高いステイタスを意味して尊敬の対象だ。関西の小学校では、モテる男の子は、足の速い子か、おもろい子だ。

 話がおもしろいということは、「頭がいい」とさえ思われることがある。従って、「山田か、あいつは、アホな奴や。ギャグが切れる。頭ええで」などと、「アホ」と「頭ええ」の矛盾する表現が同居することすらある。こうなると、関西以外の人間には理解しがたいだろう。

 一方、「ええかっこしい」は、最低の社会的地位である。東京で「キザ」「野暮」といわれるような雰囲気が言動の一部に出てしまう人。最近では「KY」、つまり空気が読めない人。かといって、過度に丁寧なのも「気取っている」とみなされる。そういう「ええかっこしい」の人間には、関西では生存権はない。関西で息をする以上、「アホ」になることに切磋琢磨し、ゆめゆめ「ええかっこしい」と思われないようにしなければならない。

 関西育ちの私が大学に入学して東京に出てきたとき、初めてのクラス会で、とても立派な発言をした人がいた。発言の内容は、間違いなく実に立派なのだが、私の受けた印象は「この人、よく二十歳まで生きてこられたなあ」だった。

 関西では、そんなに立派な発言をする人は「ええかっこしい」と罵声を浴び、小学生からずっといじめの対象になる。間違いなく、小中高の12年間も生き延びることができない。

 立派なことをいうときほど、慎重には慎重を重ね、ギャグをかませるか、オチをいれるかしなければならない。そのクラス会が終わった後、自然と集まった関西出身者は、みんな私と同じように驚いたようで、「これは、文化が違うわ」と、これからの東京生活でのカルチャーショックに不安をつのらせたものである。

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