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赤ちゃんポスト、設置が進まない日本…賛否両論の狭間で孤立し苦悩する母親たち

文=ヘルスプレス編集部
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赤ちゃんポスト、賛否両論で揺れ動き10年間に125人~望まない妊娠で孤立する母親の画像1赤ちゃんポストに賛成?反対?(depositphotos.com)

 1年間に生まれる赤ちゃんは、世界に1億4024万4000人、日本に98万1300人。1日当たりなら世界に38万4200人、日本に2688人。1分当たりなら世界に264人、日本に1.8人の赤ちゃんが産声を上げている(ユニセフ『世界子供白書2016』。

 熊本市の慈恵病院に開設した「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)が満10年を迎えた。この間、預けられた新生児や乳幼児は125人を数えている。

 2006年12月15日、熊本市の慈恵病院は、熊本市に赤ちゃんポストの設置申請を提出し、翌2007年5月10日から運用をスタート。望まない妊娠や赤ちゃんの未来の問題などを電話やメールで相談できる窓口「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」も同時に立ち上げた。

生活困窮、未婚、世間体や戸籍の問題、不倫などが理由

 赤ちゃんポストの扉の中は、常時36度に保たれた保育器(インファント・ウォーマー)が置いてあり、保育器の中に赤ちゃんを入れると看護師が駆けつける。預けられるのは、原則として生後2週間以内の新生児に限られる。

 医師が直ちに健康状態を確認。親が出産前に病院と話し合い、親の合意がある場合は、特別養子縁組がすぐに組まれる。話し合いも合意もない場合は、親が考え直して引き取りを申し出る場合を考慮し、熊本市内の熊本乳児院、慈愛園乳児ホーム、八代市内の八代乳児院に移す。その後、一定期間を経て、特別養子縁組が組まれ、養父母の家庭や児童養護施設などで育てられる。

 特別養子縁組は、原則として6歳未満の子どもが家庭で養育を受けることを目的に、1988年の民法改正(第817条の2~817条の11)によって発足した養子縁組制度。家庭裁判所の審判で確定し、養子と実親との親族関係は法律上終わる。

 赤ちゃんポストに関わる病院の医療費、乳児院の措置費、生活費は、国と熊本県または熊本市が折半。戸籍は、熊本市長が作成・命名する。

 運用状況を検証している熊本市の専門部会によると、10年間で赤ちゃんポストに預けられた赤ちゃんは125人以上。「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」の利用件数は、2007年は数10件だったものの、2013年1445件、2014年4036件と年を追って増加。県外からの相談が約7割、インターネットで知った人が多い。

 母親の居住地は、北海道1件、東北3件、関東22件、中部11件、近畿10件、中国8件、四国1件、熊本9件、熊本以外の九州9件、国外1件、不明29件と全国に散らばる。
 
 預け入れの理由(複数回答)は、生活困窮32件、未婚27件、世間体や戸籍の問題24件、パートナーの問題22件、不倫16件、親の反対10件、養育拒否10件、育児不安と負担感4件など。望まない妊娠で孤立し、苦悩する母親たちの悲痛な姿が見える。

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